新横綱・大の里も思わず「すごい…」 新会場IGアリーナに驚き こけら落としVへ「いい経験だし楽しみたい」

 大相撲名古屋場所(13日初日)に新横綱で臨む大の里(25)=二所ノ関=が、新会場IGアリーナの“こけら落としV”を狙う。1日午後、約70人の関取衆らと名古屋場所の新しい会場を初めて視察。「楽しみたい」と新横綱優勝に向け、気持ちを高めた。過去に新会場で初めて行われた本場所では大鵬、千代の富士らが優勝しており、大の里もアリーナ開業後最初のイベントとなる名古屋場所で歴史に名を刻む。この日は愛知・安城市の部屋で名古屋入り後初の稽古を行い、本格的に始動した。

 約30メートルの天井からつるされたつり屋根、4階まで設けられた真新しい客席を見上げると、大の里は思わずつぶやいた。「すごい…」。アジア最大規模とされ、開放感あるつくりが特徴のIGアリーナ。新横綱は力士会終了後に、関取衆らと東西の支度部屋や館内の動線を約20分視察し「すごく整っている。国技館や大阪、九州とはちょっと違う雰囲気」。こけら落としとなる初日(13日)に向けてイメージを膨らませた。

 年6回開催の本場所の常設会場変更は、東京・両国国技館が落成した1985年初場所以来40年ぶり。地方場所では81年九州場所以来となる。歴史的な節目を迎える新横綱は「会場が変わることなんてほとんどないこと。いい経験だし、楽しみたい」と意気込んだ。過去に新会場に移って初めて行われた本場所では大鵬、千代の富士、初代・若乃花などそうそうたる横綱が賜杯を手にした。大の里もIGアリーナで新横綱Vと3連覇を果たし、大横綱への道を歩んでいく。

 この日は午前8時から名古屋入り後初の稽古を行った。幕下力士と10番(8勝)取り、強烈な左おっつけで吹っ飛ばす場面もあった。相撲を取る稽古は約1週間ぶりで、全身が汗だくになるまで追い込み「なまっていた分、しっかりとやった。これからギアを上げていきたい」と気合を入れた。

 力士会後には名古屋市役所などを表敬訪問。6月30日に緊急搬送された広沢一郎市長とも歓談した。昇進後、多忙な日々が続くが、土俵で結果を残し続けなければ、進退を問われるのが横綱の宿命だと理解はしている。「過去2回、苦戦した名古屋でいい成績を残せたら、自分が強くなったと証明できる」。記念すべきIGアリーナ最初の優勝力士として「大の里」のしこ名を刻む。(山田 豊)

 ◆IGアリーナ ▽概要 国内最大級の多目的アリーナとして、名古屋市北区の名城公園内に今年3月完成。5階建て。天井高約30メートル。最大収容人数1万7000人。建築家・隈研吾氏が外観をデザイン。英金融サービスのIGグループが10年間のネーミングライツを取得 ▽設備 アリーナ中央に8面体の大型映像装置を設置。VIPルームは40室、プレミアムラウンジが約850席 ▽アプリ 専用アプリを活用し、Wi―Fi接続や飲食店舗のモバイルオーダーを行う。将来的にはトイレや最寄り駅の混雑案内も計画 ▽大相撲 今場所の席数は約7800席。升席は昨年の名古屋場所までと比べて縦横とも約18センチ広い ▽今後のイベント 9月に英シンガー・ソングライター、スティングの公演とプロボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥の試合。12月にフィギュアスケートのグランプリファイナルなどを予定。来年は愛知・名古屋アジア大会の競技会場

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