渦巻く批判が一変の160キロ復活…佐々木朗希リリーフで秘密兵器化のナゼ「68→95%」「じつは1球種封印」ドジャース先発時と比較(Number Web)
ここまでの佐々木のドジャース挑戦1年目を振り返ろう。オープン戦は2試合に登板した。以下すべて、振=三振、球=四球、カッコ内は(投球数-ストライク)で、%はストライク率。 3月4日レッズ戦 救援 3回2安1球1死5振、責0 (46-26/56.5%) 3月11日ガーディアンズ戦 先発 4回1安2球2振、責0 (41-23/56.1%) 最初の登板は山本由伸の後を受けて登板。3回無失点。フォーシームの球速は160.0km/h、2試合目は先発して4回無失点。球速156.7km/h。合わせて7回を無失点に抑えたが、先発投手のストライク率は60%でぎりぎり合格と言われる中、制球力は良いとは言えなかった。また7回で4四死球はやや多い。ただ「佐々木は投げられる」という印象を首脳陣に与えたようだ。
そして3月19日、東京ドームでのカブスとの開幕シリーズ第2戦に先発した。以下、佐々木の先発投手としての8試合を見ていこう。空は空振り。 3月19日カブス戦 先発 3回2安5球3振、責1 (56-25/44.6%)空4 3月29日タイガース戦 先発 1.2回3安4球2振、責2 (61-32/52.5%)空6 4月5日フィリーズ戦 先発 4回3安2球4振、責1 (68-41/60.3%)空8 4月12日カブス戦 先発● 5回4安1本2球3振、責1 (81-50/61.7%)空6 4月19日レンジャーズ戦 先発 6回2安1本3球4振、責2 (78-49/62.8%)空8 4月26日パイレーツ戦 先発 5.2回5安1本2球4振、責3 (93-53/57.0%)空8 5月3日ブレーブス戦 先発〇 5回6安1本2球4振、責3 (98-56 57.1%)空5 5月9日ダイヤモンドバックス戦 先発 4回5安2本2球0振、責5 (61-43 70.5%)空3 3月19日の東京ドームでのカブスとの開幕第2戦に先発、2番鈴木誠也からメジャー初三振を奪うも3回までに5四球を与えた。2試合目のタイガース戦は初回に3被安打2与四球、暴投もあり2回途中で降板した。 4月に入ってやや制球が良くなり、12日のカブス戦は負け投手になったものの5回を投げ自責点1、次のレンジャーズ戦は初めてQS(クオリティスタート=6回以上投げて自責点3以下)を記録した。 このまま調子を上げていくかと思えたが、5月3日のブレーブス戦は勝ちこそついたものの6被安打1被本塁打、9日のダイヤモンドバックス戦は5被安打2被本塁打、そして三振は一つも奪えなかった。
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佐々木の先発登板をMLB公式サイト「Baseball Savant」の球種別のデータで見るとこうなる。 フォーシーム(299-204/68.2%)空13 最速161.7km/h 平均球速154.5km/h 平均回転数2080rph スプリッター(196-98/50.0%)空26 平均球速136.5km/h 平均回転数482rph スライダー(101-47/46.5%)空9 平均球速133.6km/h 回転数1889rph カブスとの開幕戦、鈴木に161.7km/hのフォーシームを投げたが、100マイル(約160.9km/h)超のボールはこの1球だけ。あとは150km/h台半ばに終始した。ストライクが取れるボールがフォーシームだけだったために、ゾーンに投げ込むことに汲々としていた印象だ。佐々木のフォーシームはややシュートしているが、球速のわりに回転数が2050前後と低いこともありホップした印象はなく、打者には捉えられやすい。ちなみに今季の大谷翔平のフォーシームは160km/h超で2400回転に達している。 佐々木はNPB時代、スプリット(フォーク)がマネーピッチで三振の山を築いていた。 フォークの制球が良いことが最大の売りだったが、MLBではストライクが入らず、打者に見送られることが多かった。ワンバウンドは14球、死球は3つ与えていて、相手打者は「手を出さない」ことが基本になっていた。 ロッテ在籍時、フォークは140km/h以上出ていたが、MLBでは130km/h台半ば。思い切って腕を振っていないからではないかと思われた。
そしてスライダーである。もともと得意な球とは言えなかったが、球種が極端に少ない中で間に合わせ的に投げている印象だった。 ちなみに山本由伸、ダルビッシュ有、大谷が投げ分ける球種は以下の通り。 〈山本由伸=7球種〉 フォーシーム、スプリット、カーブ、シンカー、シュート、カットボール、スライダー 〈ダルビッシュ有=8球種〉 スライダー、フォーシーム、シンキング・ファストボール、スイーパー、スプリッター、カーブ、ナックルカーブ、カットボール 〈大谷翔平=7球種〉 スイーパー、フォーシーム、カットボール、スプリット、シンカー、カーブ、スライダー わずか3つという佐々木の球種の少なさは、MLBではマイナスの意味で目立っていた。 5月13日、インピンジメント症候群を発症した佐々木はIL(負傷者リスト)入り。リハビリを経て、AAAオクラホマシティで調整登板を始めた。しかしここも苦難の道ではあった。 8月14日 先発 2回6安0本1球0振、責3 8月20日 先発 3.1回3安0本3球2振、責1 8月26日 先発● 3.2回5安0本2球4振、責3 9月2日 先発● 5回3安2本2球2振、責4 9月9日先発 4.2回3安0本4球8振、責3 投げるたびに失点し、四球も出す。5先発で17.5回20被安打12与四球16奪三振、防御率6.10は、お世辞にも良好とはいえない状態だった。