「ほとんどがホストクラブ」立ちんぼ女性が語った“身体を売る”理由 「色恋営業禁止」法改正でホストクラブに変化? 客の本音「お金使う人は減る」「色恋がないなら支払う価値ない」
大阪・ミナミ。日本有数の歓楽街の片隅に、夜になると雰囲気が一変する場所があります。ずらりと並ぶ若い女性たち。座り込んだりスマートフォンを触ったりしています。 一人の女性にサラリーマン風の男性が近寄り、話し込む姿が。しばらくすると、2人は談笑しながらホテル街へと姿を消しました。 この一帯では3年ほど前から路上で売春の客待ちをするいわゆる「立ちんぼ」が横行しているのです。 身体を売って金を稼ぐ女性たち。彼女たちはなぜ路上に立つのでしょうか。記者が話を聞いてみると… (路上売春をする女性)「(Qいつから立ってる?)1年前くらいから。(路上売春を始めたきっかけは)友達がしていたから。そんなにお金稼いでいるのなんでか聞いたら、路上売春だったみたいな。(Qなぜ路上売春を?)ほとんどがホストクラブ。お店(ホストクラブ)に行くためにお金を稼いでいる子が多いかな」 ホストクラブに通うために路上売春をする女性が多いと話します。
別の女性にも話を聞くことができました。 「(Qいつから立っている?)2年前とか。(稼ぎは)1日少なくて5万円とかです」 18歳のマユカさん(仮名)。路上売春を始めたきっかけは… (マユカさん)「メンコンとか知って興味本位で始めたみたいな。(メンコンは)1回安くて3万円とか」 彼女がのめり込んだと話す「メンコン」。後日、詳しく話を聞きたいと申し込むと、了承してくれました。
後日、昼に会うマユカさんは、18歳らしさを纏っていました。 マユカさんが以前通っていたというメンコンに案内してくれました。 メンコンとは「メンズコンセプトカフェ」のこと。男性店員が店のコンセプトに基づき、「アイドル」や「王子様」といったコスプレなどをして、接待や接客を行う飲食店のことを指します。 (マユカさん)「友達が知っていて、1回連れて行ってもらってから行くようになりました。(Q月にいくらくらい使っていた?)月30万円くらい。ほぼ毎日行っていた。担当(のメンコン店員)が結構言ってくれますね、『一番使っている』って。長くついてほしいから、その分、バーンってお金を入れたりはしていました」 お金を使えば使うほど特別扱いしてくれた店員。マユカさんは半年間で約200万円を注ぎ込んだといいます。なぜ、それほどまでに依存してしまったのでしょうか。 (マユカさん)「親に虐待されていたので。毎日、病院に行くくらい殴られて、ここ(顔)とか縫った痕があるんですけど」 家に居場所がなかったというマユカさんにとって、親身に話を聞いてくれる店員だけが心のよりどころだったのです。
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そして、改正法が施行される当日の営業開始前。櫻井さんはホストたちに改正内容を周知します。 (櫻井海晴店長)「6月28日、風営法改正一発目の営業です。『別れたくないならシャンパン入れて』とか、『付き合ってるんだったらお店に来てくれ』とか、そういうことがダメということです。みんなで元気よく営業していきましょう」
午後8時、営業開始。ホストたちは探り探り接客しています。 (ホスト)「これ、どこからがセーフでどこからがアウトなのか」 (ホスト)「時代が変わったのもあるからな、厳しい」 ただ、今回の改正を前向きに捉えているホストもいるようです。 (ホスト)「悪い人がいなくなるのはいいことじゃないですか。ホスト側はちょっとしんどくなるかもしれないけど。(Qランキング制もなくなるけどどう?)僕入ってないので、助かりますね。圏外なので助かります」 一方、客側は… (客)「『ナンバー取りたいからお金使って』みたいな感じでホストに言われることが多いから、それがなくなるからお金使う子も減るんじゃないかなって思います」 (記者)「彼にどれくらい使った?」 (ホスト)「そんな、小遣いくらいやんな」 (客)「4000万円くらい」 (記者)「4000万円!?」 (客)「多少無理もあったけどしかたがなかった。それがホスト」 中には、こんな客も…
(客)「改正には反対です。そもそも色恋、疑似恋愛を楽しみに来ているのに、それがなかったらお金払う価値がないというか」
午前0時、ラストオーダーです。改正前はその日、最も売り上げの良かったホストが、高額な支払いをした客の隣に座り、カラオケで歌う時間でしたが… (櫻井海晴店長)「ラストオーダー、これにて終了!」 風営法改正、初日の営業が終了しました。
(櫻井海晴店長)「(Q改正初日はどうでしたか?)シャンパンが少なかったです、きょう」 (従業員)「従業員が顔色伺いながら接客してるのが目についたんですけどね。店の活気ってすごく大事なので、そういう部分を殺されているっていう現状だと思う」 (櫻井海晴店長)「なったものはしかたがない、風営法。ちゃんと受け入れてダメなところは改善して、絶対トラブルが起きないようなお店作り、組織作りに舵を取るしかないので。受け入れて気をつけますって感じ。お疲れ様でした。キャバクラ行こっ!!」 (2025年9月25日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
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ホストクラブやメンコンなどに通う金を稼ぐため路上売春をする女性たち。こうした事態を受けてホストクラブなどがいま大きく変わろうとしています。 カジュアルな服装でやってきた長髪の男性。大阪ミナミのホストクラブ「Addiction」の店長・櫻井海晴さんです。 今年6月、ホストクラブなどの営業を規制する「風営法」の改正法が施行されました。取材した日は、施行に先立ち大阪府警による説明会が開かれるということで、櫻井さんも会場に向かいます。 (櫻井海晴店長)「(Q勉強してきた?)してきました、ChatGPT使いました。色恋がダメとか、広告の文言とか、最終的な話はきょう聞こうと思っている」 説明会にはホストクラブの関係者約200人が参加しました。 (大阪府警の担当者)「客の正常な判断を著しく阻害する行為を規制する」 改正法では、色恋を利用した営業が禁止になりました。例えば「シャンパンを注文してくれないと関係は終わり」などと、客の恋愛感情を利用して飲食を強要することはできなくなりました。 また、路上売春や性風俗店での勤務などを要求することも禁止すると明記されました。さらに… (大阪府警の担当者)「年間売上〇億円突破、○億円プレイヤーとか、指名数ナンバーワン、(などの文言は)規制の対象になる」 広告表現にも新たな規制が加わりました。「過度な競争意識をあおり高額な支払いを助長する」として、営業成績を直接的に示す広告が禁止となったのです。
ホストクラブの今後の営業に大きな影響を与える法改正。櫻井さんも真剣な面持ちで話を聞きます。2時間に及んだ説明会が終わると、すぐに自身のホストクラブに戻ります。 (櫻井海晴店長)「これ(看板の文言)ダメですね、使えない。これを消していかないとダメですね」 店内のポスターにも規制の対象となる文言が載っていて、櫻井さんはそれらを外していきました。 (櫻井海晴店長)「バイバイ…こうやって外していくって話ですよ」