ディーゼル燃料高騰にトレーダーが賭け、ロシア製油所への攻撃激化で

Mia Gindis、Jack Wittels

  • 今月のディーゼル燃料先物のオプション取引量、過去最大に
  • ウクライナの製油所攻撃で供給ひっ迫懸念、ロシアは輸出制限検討

石油トレーダーがディーゼル燃料価格の高騰に賭け始めている。ウクライナがロシアの製油所に対する攻撃を激化させており、世界的に供給が引き締まるとの懸念が背景にある。

  24日公表された持ち高状況に関するデータによると、欧州のディーゼル燃料価格上昇を見込む投資ファンドのポジションは、2022年2月以来の大きさに上った。

  また、今月に入ってからのディーゼル燃料の先物カーブのオプション取引量は過去最大となっていることを、インターコンチネンタル取引所 (ICE)のデータは示している。そのうちの大半は、相場上昇を見込む取引に集中している。

  トラックや船舶、農業に欠かせない燃料であるディーゼルは、ロシアが依然として世界有数の供給国だ。このためロシアの状況は世界のサプライチェーンに重大な影響を及ぼす。ディーゼル燃料の価格上昇は、供給過剰見通しから現時点で下落圧力にさらされている原油先物を押し上げる可能性もある。

  ウクライナは8月初め以降、ロシアの製油所を少なくとも23回攻撃したが、これは1-7月の7カ月間に攻撃した回数とほぼ同じだ。ロシアの出荷が減少している兆しも既に見られ、北半球の製油所が定期的なメンテナンスに入る時期であることも、世界的な供給を圧迫している。

ウクライナのドローン攻撃後、煙と炎を上げるロシア占領地の石油関連施設(今年6月30日にロシア国営通信スプートニクが配信)

  ウクライナによる攻撃とその影響について、カロバール・キャピタルのハリス・クルシド最高投資責任者(CIO)は「物理的な圧迫は小さいが、心理的な圧迫は甚大だ」と指摘した。

  ロシアのスピメックス商品取引所における燃料価格は史上最高値を付けた。ロシアは既にガソリンの輸出を禁止し、ディーゼルの輸出についても制限を検討している。

原題:Diesel Traders Bet on Price Spike as Russia Refineries Attacked(抜粋)

— 取材協力 David Marino and Alex Longley

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