ロシアの領空侵犯、NATO結束に試練-対応巡り加盟国の温度差浮き彫り
ロシアによる領空侵犯への対応をめぐり北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間で調整が難航しており、加盟国の足並みの乱れが表面化している。
ドイツは23日、ロシア機を撃墜することのリスクについて警鐘を鳴らした。一方、ほぼ同じタイミングで、トランプ米大統領は、ポーランドやバルト三国の支持を受け、より強硬な姿勢を取ることに前向きな姿勢を示唆した。前日の22日には、ポーランドのトゥスク首相が、空からの脅威を撃墜する可能性に言及し、この方針に関しては「議論の余地はない」と述べていた。
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こうした姿勢の違いは、ロシアのプーチン大統領がNATOの結束を試す中、同盟内に懸念すべき亀裂があることを浮き彫りにしている。ロシア軍用機によるNATO加盟国への領空侵入は、東側の同盟諸国を中心に不安を広げている。
エストニアは今週、ロシアの戦闘機による12分間の領空侵犯を受け、NATOおよび国連安全保障理事会に対して緊急会合の開催を要請した。わずか数週間前には、ロシアの無人機がポーランドおよびルーマニアの領空を侵犯していた。
こうした一連の動きは、NATOに対して説得力ある対応策を打ち出すよう圧力を強めている。明確な戦略が示されなければ、NATOは信頼性ある抑止力を維持することが難しくなる。
そんな中でドイツは慎重な姿勢を呼び掛ける。同国のピストリウス国防相は23日、NATOがロシア機を撃墜すればプーチン大統領の「エスカレーションの罠」に知らずに陥るリスクがあると警告した。
一方、他のNATO諸国はロシアへの強いメッセージとして、より断固とした姿勢を求めている。ラトビアのリンケービッチ大統領は同日、ロシアによる領空侵犯への対応として、NATOに「武力の示威」を訴えた。
リンケービッチ氏はブルームバーグ・テレビのインタビューで「ロシアの行動が続いた場合に武力行使も選択肢となるよう、対応指針を見直す必要があるだろう」と語った。
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原題:NATO Allies at Odds Over How to Respond to Russia’s Threats (1)
(抜粋)
— 取材協力 Iain Rogers