6初輸出、米国がF127フリゲート向けの対外有償軍事援助を承認
RTXは2025年10月「対外有償軍事援助に基づきAN/SPY-6(V)1をF127に供給する業者として選定された」「ドイツはAN/SPY-6の初海外顧客となる」と発表していたが、米国務省もAN/SPY-6(V)1を含む推定費用119億ドルのドイツ向け対外有償軍事援助を承認し、F127フリゲートのSPY-6搭載がほぼ確定した。
参考:Germany – Integrated Combat System, Supporting Equipment, and Support
ドイツ海軍の水上戦闘艦戦力は汎用フリゲートのF123×4隻、防空フリゲートのF124×3隻、低強度作戦向けのフリゲートのF125×4隻、汎用コルベットのK130×6隻で構成され、2020年にF123の後継艦としてDamenが提案したF126の建造が決まり、2023年に建造を開始したものの技術的な問題で大幅な遅延に直面し、MEKO A-200緊急取得が検討されている。
出典:TKMS
F124の後継艦はAN/SPY-6やMk.41VLS×96セルの搭載、BMD能力の獲得が見込まれるF127=MEKO A-400 AMD(排水量1万トン)で、RTXも2025年10月「対外有償軍事援助に基づきAN/SPY-6(V)1を8隻のF127に供給する業者として選定された」「ドイツはAN/SPY-6の初海外顧客となる」と発表していたが、米国務省も4月17日「ドイツ政府への統合戦闘システム、支援装備、および支援に関する対外有償軍事援助(FMS)の実施を承認する決定を下した」「推定費用は119億ドルだ」と発表。
推定費用119億ドルのFMSには統合戦闘システム(ICS)MK.6 MOD Xコンピューティングインフラストラクチャ、AN/SPY-6(V)1、Mk.41ベースラインVIII VLS、協調交戦能力システムなど8隻分、MK.45艦砲×9門、AN/SLQ-32(V)6×3基、AN/SPQ-9B×8基、AN/WSN-12×8基に加えて関連機器、ソフトウェア、サービスが含まれており、これはF127向けの搭載品売却に関する内容だ。
出典:Bundeswehr
ちなみに、ドイツ海軍は「F127フリゲートを補完する無人水上艦艇=LRMV×3隻」「K130を補完する無人水上艦艇=FCSS×18隻」「U212A/CDを補完する無人潜水艦=LUUV×12隻」を2035年までに取得する予定で、有人戦闘機と無人戦闘機の関係と一緒で「有人戦闘艦の能力を直接拡張するのではなく、有人艦に随伴する無人戦闘艦を戦力構造に追加することで特定能力を付け足す」という意味になる。
水上艦艇の戦闘能力はミサイルの携行量が垂直発射装置のセル数に依存する上、洋上でのミサイル再装填が非常に困難なため「消耗した戦闘能力」を回復させるには港に寄港する必要があり、この問題を更に深刻化させているのは「空からのアプローチが安価になったため垂直発射装置のセル数に依存する水上艦艇は空中の脅威に対して不利」という点で、これを現行の概念でカバーするためには艦艇のサイズを大型化してセル数を増やすか、高価な有人戦闘艦の数を増やすしかない。
出典:Bundeswehr
艦艇のサイズを無闇に大型化すれば運用関係のインフラを一から見直さなければならず、高価な有人戦闘艦の数を増やせば費用と人手の問題に直面するため、LRMVやFCSSは基本的に有人戦闘艦の弾薬庫=ミサイルを再装填した発射装置の運搬プラットフォームとして機能し、LRMVとFCSSの違いは耐航性を担保する船体の大きさで、LRMVは気象条件が厳しい大西洋での運用を、FCSSはオランダ海軍が導入予定の無人支援艦=追加弾薬庫として機能するプラットフォームと同じ北海やバルト海での運用を想定している。
要するに特定海域に弾薬庫として機能する無人戦闘艦を長期間徘徊させることで「これをコントロールする有人戦闘艦の能力=発射装置のセル数を拡張する」という意味になる。つまり無人戦闘艦は有人戦闘艦を置き換える存在でも、無人戦闘艦が単独で自律的に脅威と交戦するわけではなく、トラックに例えるなら荷台を物理的に拡張するのではなく「自律航行が可能な無人車輌との同時運用で輸送量を拡張する」といったところだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:TKMS MEKO A-400 AMD