ドル安が一服も、関税によるインフレ加速と米利下げ先送りで-ING

Anya Andrianova

  • ユーロは1.13-1.15ドル、円は145-150円に一時下落も-ターナー氏
  • 12月に0.5ポイント利下げを予測-「全般的にドルは下落トレンド」

関税措置に伴うインフレ加速と米利下げの先送りを受け、ドルは今後数カ月間に上昇基調をたどる見通しだと、INGの為替戦略責任者、クリス・ターナー氏は指摘した。

  ターナー氏はインタビューで、関税措置によって8月以降に消費者物価の上昇が加速し、利下げ余地が限定されることで、ドルは今年これまでの下落基調が一服する可能性があると述べた。ターナー氏はこの間の相場は、ユーロが一時、1ユーロ=1.13-1.15ドルのレンジに下落し、円も1ドル=145-150円に下げると予想しており、ユーロと円はいずれも約4%の下落になると見込んでいる。

  「米連邦準備制度は12月まで政策金利を据え置く可能性が考えられる」とし、「その後、ドルは緩やかな調整局面を迎えるかもしれない」と続けた。

  一方で、ユーロに関するターナー氏の見方は、市場全体のコンセンサスと異なる。市場では、欧州の財政支出計画や、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を米連邦準備制度ほど積極的に進めないとの見方から、ユーロ高が継続するとの見方が広がっている。

  ターナー氏は、5月に前年同月比2.4%上昇だった米消費者物価指数(CPI)が、8月または9月に約4%上昇に加速すると予測。ブルームバーグ調査の予想中央値は7-9月(第3四半期)が3.1%、10-12月(第4四半期)が3.3%となっている。

  同氏は「利下げは先送りされるとみているが、最終的には12月に0.5ポイントの利下げが行われる可能性がある」とした上で、「全般的にはドルは下落トレンドにある」との見方を示した。

  市場の次の注目は、7月4日の独立記念日の前日に発表される6月の米雇用統計となる。

  ターナー氏は「失業率が低水準にとどまれば、ドルに対する弱気姿勢はピークである可能性がある」とする一方、「労働市場が崩れ始めれば、一段のドル安を見込む動きが強まるかもしれない」と語った。

原題:ING Sees Dollar Respite After Tariffs Boost Inflation(抜粋)

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