異例の暑さが続く夏、8月下旬〜9月初めは再び“ダブル高気圧“で猛暑に

図1. 8~10月の気温傾向

株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:石橋 知博)は、「猛暑見解2025」を更新して本日発表しました。今年の8~10月の気温は全国的に平年より高く、特に8月下旬〜9月初めを中心に厳しい残暑となる予想です。今年の6月と7月の平均気温は、速報値で昨年を上回り、過去最高を記録しました。この暑さの要因は、太平洋高気圧とチベット高気圧が重なり合ってできる“ダブル高気圧”で、8月5日には群馬県伊勢崎市で国内観測史上1位の41.8℃を観測するなど、命に関わるような危険な暑さの日が続きました。8月中旬は前線や寒気の影響で厳しい暑さは一旦落ち着きますが、8月下旬になると、再び“ダブル高気圧”となり、暑さが一層厳しくなる予想で、35度以上の猛暑日が続くおそれがあります。例年であれば涼しくなる9月以降も、太平洋高気圧の勢力が強いため、10月にかけて高温傾向が続く見込みです。

こまめな水分補給や適切にエアコンを使用するなど暑さ対策をしっかりと行い、熱中症には十分にご注意ください。最新見解は、「ウェザーニュース」アプリやウェブサイトからご確認いただけます。

平年よりも気温が高い予想で、厳しい残暑の見込み

6月と7月の日本の平均気温は速報値で昨年を上回り、それぞれの月で最も気温が高く、過去最高の記録を更新しました。特に8月5日には群馬県伊勢崎市で国内観測史上1位の41.8℃を観測するなど、最高気温が40度に達した地点があり、命に関わるような危険な暑さの日が続きました。この暑さの原因は、太平洋高気圧とチベット高気圧による“ダブル高気圧”です。この2つの高気圧が上空で重なり合うことで、非常に背の高い一つの高気圧のようになり、厳しい暑さをもたらしました。8月に入ってからも西日本を中心に各地で厳しい暑さが続いていますが、この先10月にかけても全国的に気温は平年より高く推移し、残暑の厳しい日が多くなりそうです。8月中旬は前線や寒気の影響で天気がぐずつき、本州付近の厳しい暑さは一旦落ち着きます。しかし、8月下旬になると、フィリピン近海の対流活動が活発化することで、太平洋高気圧の勢力が強まります。また、偏西風の蛇行によってチベット高気圧が本州付近への張り出しを強めるため、再び“ダブル高気圧”となり、暑さが一層厳しくなるタイミングがある見込みです。例年であれば9月以降になると、太平洋高気圧が次第に日本の南東に後退し、涼しい空気を運ぶ偏西風が南下してきますが、今年は太平洋高気圧の勢力が強く、偏西風帯の南下が平年より遅れ、涼しい空気が日本に届きにくくなるため、10月にかけて全国的に気温が高い状態が続く見込みです。

昨年9月は記録的な猛暑だった2023年に次いで歴代2位の高温となりました。これは、太平洋高気圧が平年よりも強い状況が続いたことに加え、偏西風が平年よりも北寄りを流れ、日本付近は強い日射や暖かい空気に覆われやすかったことが影響したとみられます。また、地球温暖化などの長期的な気候変動や日本近海の海面水温が記録的に高かったことなども影響したと考えられます。今年の9月も昨年と同じくらいか上回る可能性があり、長引く残暑に注意が必要です。

2つの高気圧の見解

(1)太平洋高気圧:本州付近への張り出しが強まる8月から9月は、太平洋高気圧の日本付近への張り出しは平年より強い見込みです。このため、全国的に暖かい空気に覆われやすく、気温は全国的に高くなりそうです。ただ、8月の中旬は前線や上空の寒気が入りやすくなる影響で不安定な天気になり、暑さが和らぐ日もありそうです。

(2)チベット高気圧:8月下旬から9月に日本付近への張り出しが強まる時期があるチベット高気圧とは、北半球の夏季にチベット付近を中心に広範囲に広がる上空の高気圧です。8月下旬から9月に、太平洋高気圧の勢力が強まるのと同時期にチベット高気圧も日本付近に張り出しを強め、残暑が厳しくなる時期がある見込みです。

図2. 今年の猛暑ピーク時の天気図イメージ
※その他、地球温暖化の影響などで北半球対流圏の平均気温が高くなっていることや、北日本周辺の海水温がかなり高いことも、暑さの要因になりうると考えられます。

エリアごとの見解 8~10月の平年との気温比較

エリア

平均気温

8~10月の暑さ見解

北日本

平年より高い

8月:気温は平年より高い予想です。上空の寒気や湿った空気の影響で暑さの収まる日はあるものの、晴れて暑い日が多い見込みです。

9月:気温は平年より高い予想です。季節の進行が平年より遅く、前半を中心に残暑が厳しい見込みです。ただ、前線や湿った空気の影響で東北を中心にぐずつく時期もあるとみられ、暑さの収まる日もある予想です。

10月:気温は平年より高い予想です。天気は周期的に変わりますが、低気圧通過後の寒気の流れ込みは弱く、暖かい日が多い見込みです。

東日本

平年より高い

8月:気温は平年より高い予想です。晴れて暑さの厳しい日が多くなり、熱中症に警戒が必要です。ただ、中旬は上空の寒気や湿った空気の影響で暑さの和らぐ日もある見込みです。にわか雨や雷雨が発生しやすい日もあり、天気の急変にもご注意ください。

9月:気温は平年より高い予想です。前半を中心に高気圧に覆われて晴れて残暑の厳しい日が多くなります。後半は、台風や前線、湿った空気の影響でぐずつき、暑さの収まる日もある見込みです。

10月:気温は平年より高い予想です。日本海側は天気が周期的に変わり、暖かい空気に覆われやすい見込みです。太平洋側は前線や台風の影響で中旬にかけてぐずつく日が多く、蒸し暑い日も平年より多くなりそうです。

西日本

平年より高い

8月:気温は平年よりやや高い予想です。晴れて暑さの厳しい日が多くなり、熱中症に警戒が必要です。ただ、中旬は上空の寒気や湿った空気の影響で暑さの和らぐ時期もある見込みです。にわか雨や雷雨が発生しやすい日もあり、天気の急変にもご注意ください。

9月:気温は平年より高い予想です。前半を中心に高気圧に覆われて晴れて残暑の厳しい日が多くなります。後半は、台風や前線、湿った空気の影響でぐずつき、暑さの収まる日もある見込みです。

10月:気温は平年より高い予想です。日本海側は天気が周期的に変わり、暖かい空気に覆われやすい見込みです。太平洋側は前線や台風の影響で前半はぐずつく日が多く、蒸し暑い日も平年より多くなりそうです。

沖縄

平年より高い

8月:気温は平年より高い予想です。強い日差しが照りつけ晴れて暑い日が多いですが、にわか雨や雷雨の起こりやすい時期もあるでしょう。夜間も気温が下がりにくく、寝苦しい日も続きます。こまめに水分を補給するなど熱中症対策をしっかり行ってください。

9月:気温は平年より高い予想です。台風や湿った空気の影響で暑さが和らぐ日と晴れて暑い日が多い日とがある予想です。

10月:気温は平年より高い予想です。高気圧に覆われて晴れて暑い日と、湿った空気や台風の影響でぐずつく日とがあるでしょう。真夏日は次第に少なくなっていく見込みです。

※本予報は8月5日時点のものです。最新の見解は「ウェザーニュース」アプリまたはウェブサイト(https://weathernews.jp/)からご確認ください。

 

お天気アプリ「ウェザーニュース」の熱中症対策コンテンツ

〜熱中症警戒アラートをスマホで受け取れる通知サービス〜「ウェザーニュース」アプリでは、熱中症警戒アラートおよび熱中症特別警戒アラートが発表された際に、ユーザーへ即時にプッシュ通知します(無料)。熱中症警戒アラートは熱中症の危険性が極めて高くなると予想される日の前日17時頃と当日朝5時頃に発表されるため、事前の対策や予定の変更などに役立ちます。

「熱中症アラーム」プッシュ通知画面

〜危険な時間と場所が詳細にわかる「熱中症情報」〜また「熱中症情報」では、48時間先まで1時間ごとの熱中症予報と、7日先までの週間予報を、1km四方で確認できます。一般的に熱中症危険度のランク分けは全国一律ですが、当社は熱中症患者搬送者数とWBGTとの関係を分析し、時期・エリアによる熱中症の発生傾向を考慮した独自の熱中症危険度を6ランク(“ほぼ安全”、“注意”、“警戒”、“厳重警戒”、“危険”、“非常に危険”)で表示します。熱中症警戒アラートの発表基準である暑さ指数33℃以上は「非常に危険」となり、熱中症警戒アラートよりも詳細に危険な時間帯と場所が確認できます。

さらに、24時間先までの熱中症リスクを250mの超高解像度でマップ上に表示し、どこでいつ危険なのか、熱中症のリスクをひと目で把握することができる「熱中症レーダー」も便利です。「熱中症情報」と併せてご活用ください。

高性能気象IoTセンサー「ソラテナPro」「ソラテナPro」(※1)は、気温・湿度・気圧・雨量・風向・風速・照度の7つの要素を1分毎に観測する小型の気象IoTセンサーです。ソラテナProでは「暑さ指数(熱中症リスク)」も確認できるため、熱中症対策に有効です。気温、湿度、風速などの観測データをもとに、環境省熱中症予防情報サイトに示されている屋外でのWBGTの計算式を用いて算出し、“注意“、”警戒“、”厳重警戒“、”危険“の4ランクで判定します。利用者の設定条件を満たした場合は、プッシュ通知やメールでお知らせするので見逃しの軽減につながります。なお、高い信頼性と安全性も担保されており、国土交通省の新技術情報提供システムNETIS(登録番号 KT-240014-A)に登録済(※2)であり、日本で初めての補完観測の予報業務利用の承認を気象庁から取得(※3)した製品です。

※1 ソラテナ Pro はウェザーニューズの登録商標です:/news/43713/※2 気象IoTセンサー「ソラテナPro®」が国土交通省 新技術情報システムNETISに登録:/news/46841/※3 「ソラテナPro」が日本初の補完観測の予報業務利用の承認を取得: /news/50737/

 

2025年8〜9月における「真夏日」「猛暑日」「熱帯夜」日数の予測

  真夏日 猛暑日 熱帯夜 札幌 10 0 1 青森 16 0 2 秋田 24 3 7 盛岡 22 1 0 山形 33 4 2 仙台 22 1 7 福島 34 8 7 新潟 33 4 17 富山 37 10 12 金沢 39 6 22 福井 41 10 18 宇都宮 38 8 8 前橋 39 12 14 水戸 35 5 8 さいたま 42 13 16 千葉 44 8 32 東京 42 8 25 横浜 41 4 30 長野 36 6 1 甲府 45 17 10 静岡 43 5 21 名古屋 49 16 27 岐阜 48 16 26 津 41 7 31 大津 44 13 15 京都 48 20 28 奈良 48 16 17 大阪 51 18 38 神戸 48 9 42 和歌山 49 8 33 鳥取 42 14 14 松江 39 8 18 岡山 49 17 30 広島 49 13 32 高松 49 17 34 徳島 47 6 32 松山 50 9 27 高知 52 4 27 山口 48 13 16 福岡 43 13 34 大分 43 7 22 長崎 47 4 35 佐賀 49 16 27 熊本 51 17 28 宮崎 41 5 23 鹿児島 52 7 43 那覇 53 1 57
※この予測は過去の平均気温や熱帯の対流活動の指数、各日数との統計関係から独自に算出したものです。なお、過去データは気象庁のデータを使用しています。※「真夏日」の日数は30℃以上の日数で、「猛暑日」も含んだ日数となっています。

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