【地球内部に「大陸サイズの巨大な塊」】マントル深部の巨大ブロブ、10億年以上前の“地殻の化石”か(スペースチャンネル)
地球の奥深く、外核とマントルの境界付近に潜む「大陸サイズの巨大な塊」が、実は10億年以上も前から存在していた──そんな驚きの研究結果が発表されました。
地球の“中心部”には、かねてより「LLSVP(大規模低速度領域)」と呼ばれる2つの巨大な塊が確認されていました。今回、その正体の一端が、最新の研究によって明らかになってきたのです。
■太平洋とアフリカの下に潜む「謎の大陸」
LLSVP(大規模低速度領域)のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)LLSVPは、地球のマントルと外核の境界付近(深さ約3,000km)に存在し、1つはアフリカの下、もう1つは太平洋の下に広がっています。そのサイズはなんと「大陸ほどの大きさ」と言われており、長年にわたりその起源が謎とされてきました。
新たな研究では、過去100件以上の地震データをもとに、これらの地震波の速度とエネルギー損失を解析。その結果、LLSVPでは地震波が遅く進む一方、予想よりもエネルギーを失っていないことが判明しました。
この奇妙な特性を説明する鍵は「結晶の大きさ」だと研究チームは考えています。周囲のマントルでは、沈み込んだプレートが砕けて微細な結晶となり、地震波はその境界でエネルギーを消耗します。
しかしLLSVP内部では、大きな結晶が多く存在していると推定され、そのためにエネルギー損失が少ないのだといいます。これは、少なくとも10億年以上変化していない可能性を示唆しています。
■“ありえない場所”に現れた「沈んだ地殻」
地球内部のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)別の研究では、ETHチューリッヒの地震学チームが新たな地球内部のイメージング手法「全波形インバージョン」を用い、これまでにない解像度でマントル内の「異常構造」を多数発見。医療におけるCTスキャンのように、地球内部を詳細に“透視”することで、想像もつかない構造が浮かび上がってきたのです。
この中には、地殻の沈み込みとは無関係な場所、例えば西太平洋の下などにも同様の構造体が存在することが確認され、「なぜそんな場所にあるのか、全く分からない」と研究者も困惑しています。
このような異常構造は、太古の地殻の名残(=“沈んだ世界”)か、あるいはマントルが形成された約40億年前の“原始的な物質”かもしれません。しかしその正体は未解明で、地球内部のさらなる謎を深める存在となっています。
今回の発見は、単なるマントルの構造にとどまらず、火山活動やプレートテクトニクスの分布、さらには地球の歴史的な地質変動にも影響していた可能性があると考えられています。地球内部には、まだ私たちが知らない「沈んだ過去」が埋まっているのかもしれません──。皆さんはマントルの深部には何が眠っていると思いますか?ぜひコメントお待ちしています。
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