NY市場サマリー(4日)軟調な経済指標でドル下落、利回り大幅低下 株まちまち
<為替> ドルが下落した。この日発表された雇用統計データが予想を下回ったほか、供給管理協会(ISM)の非製造業総合指数が約1年ぶりの低水準になったことを受けた。
マッコーリーのグローバル為替・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏はメモで、ADPのデータを受けて「連邦準備理事会(FRB)は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で5月よりも『ハト派的』なメッセージに傾く」との見方を示唆。「年内に利下げが行われる見通しはやや強まった」と述べた。
ドルは対円で0.7%安の142.89円。ユーロは0.4%高の1.1414ドルとなった。
欧州中央銀行(ECB)の政策金利を決定する理事会は5日に開催される。
主要通貨に対するドル指数は0.3%安の98.838と横ばい。4月下旬に付けた安値97.923からさほど遠くない水準で推移した。
ポンドは0.2%高の1.35515ドル。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは0.7%安の10万5064ドル。
<債券> 利回りが大幅に低下した。予想よりも軟調な労働市場データや、ISM非製造業総合指数の予想外の低下が材料視された。
米ADPリサーチ・インスティテュートが発表した5月の全米雇用報告によると、民間雇用者数は3万7000人増となり予想を大きく下回り、増加幅は2023年3月以来、2年超ぶりの低水準となった。
その後、発表されたISMの5月の非製造業総合指数が24年6月以来の低水準となったことを受け、利回りは低下幅を拡大した。
指標となる10年国債利回りは9.5ベーシスポイント(bp)低下の4.365%。一時、先月9日以来の低水準となる4.349%まで低下した。
30年債利回りは9.7bp低下の4.886%。
2年債利回りは8bp低下の3.877%。一時、先月9日以来の低水準となる3.858%を付けた。
2年債と10年債の利回り格差は48.6bpとなった。
LSEGのデータによると、市場はFRBが9月の会合で今年初めての利下げに踏み切り、その幅は少なくとも25bpになる確率は約75%との見方を織り込む。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.336%。10年物が2.307%。
<株式> 強弱まちまちで取引を終えた。S&P総合500種がほぼ横ばい、ハイテク株中心のナスダック総合が小幅続伸した一方、ダウ工業株30種は反落した。軟調な経済指標でトランプ大統領の貿易政策による経済への影響が示された。
S&P500は序盤の上げ幅が終盤にかけて縮小した。 トランプ氏と中国の習近平国家主席が週内にも協議するとみられる中、投資家は米国と貿易相手国の関税交渉に注目している。 ラデンバーグ・タルマン・アセット・マネジメントのフィル・ブランカト最高経営責任者(CEO)は「中国に関する合意に至らなければ、関税戦争は今後何カ月も主要な問題となり、国内外の経済に影響を及ぼすだろう」と述べた。
<金先物> 軟調な米経済指標と雇用関連指標を受けた米長期金利の低下や対ユーロでのドル安を背景に反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比22.10ドル(0.65%)高の1オンス=3399.20ドル。
<米原油先物> ガソリン在庫の増加が嫌気され、3営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物は前日清算値(終値に相当)比0.56ドル(0.88%)安の1バレル=62.85ドルだった。8月物は0.59ドル安の61.89ドル。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した5月30日までの石油在庫統計では、ガソリン在庫が前週比520万バレル増と、予想(60万バレル増)を大幅に上回る積み増し幅となった。ディスティレート(留出油)も420万バレル増(同100万バレル増)だった。夏場のドライブシーズン入り直後にガソリン在庫が大幅増となったことでエネルギー需要の見通しに警戒感が強まり、原油は売りにさらされた。原油在庫は前週比430万バレル減と、予想(同100万バレル減)を上回る取り崩し幅だった。
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