右WBサプライズ起用的中も激闘4-4ドロー…V遠のいた柏リカルド監督「我々が2つのタイトルを争うと想像していた人は少なかったと思う」
DFジエゴの右ウイングバック起用が的中
[9.28 J1第32節 川崎F 4-4 柏 U等々力]
柏レイソルは川崎フロンターレとの激しい撃ち合いに4-4で引き分け、4試合連続のドローとなった。首位の鹿島アントラーズとの勝ち点差は7に広がり、優勝争いから大きく離脱。残り6試合での逆転優勝は厳しい状況となった。
一度も2点差がつくことのなかった激しいシーソーゲーム。柏は今季の右ウイングバックを担ってきたMF久保藤次郎の負傷離脱に際し、代役を託されたDFジエゴが絶大な存在感を放っていた。
ジエゴはこれまで左ウイングバックのバックアッパーを務めており、右ウイングバック起用は大きなサプライズ。それでもジエゴは1-1で迎えた前半39分、カットインからの左足シュートで勝ち越しゴールを奪うと、その他の場面でも対面のDF三浦颯太を圧倒し、後半21分の同点ゴールにつながる仕事も果たした。 試合後、リカルド・ロドリゲス監督はジエゴの右ウイングバック起用について「複数の戦線離脱者がいるなか、解決策、打開策を見出すため」と説明。「徳島でも一度も右で起用したことはない。初めて彼を右で試してみよう、いいオプションになるのではないかと起用した」と明かしつつ、「実際に素晴らしい活躍を右サイドで表現してくれた」と仕事ぶりを称えた。 それでもこの日の柏はミスからの失点が悔やまれた。前半5分、最終ラインでのビルドアップを奪われ、先制被弾につながるPKを与えると、一度はジエゴの活躍などで逆転に成功したが、前半ラストプレーで再び失点。攻撃側のショートCKを奪われ、カウンターを沈められるという試合運びの拙さが目立った。 ロドリゲス監督は試合の総括にあたって「前半はしっかりと支配することができたし、良い形で2得点することができた」と手応えを口にしつつも、「ただそれと同時に前半の終盤には2-1から3-1にできる流れがあったにもかかわらず、1失点目もそうだったが、特に前半最後のプレーでの2失点目はフロンターレさんに取られたと言うより、我々がプレゼントしてしまった痛い、そして許してはいけない失点だったと思う」と2失点目を悔やんだ。 後半は2度のビハインドを追いついたが、優勝争いという点では勝ち点1という結果が重くのしかかった。指揮官は「試合展開からすると、最後の三丸のゴールによって同点に追いつき、勝ち取った勝ち点1はとても価値ある勝ち点1だったが、我々の試合前や前半の展開からすると勝ち点3が十分に取れたと思うので、とても悔しい引き分けという捉え方もできる」と受け止めた。 それでもロドリゲス監督は「タイトル争い、タイトルを獲得するためには、試合数が少なくなってきたこの時期に勝ち続けないといけない。追いかける側は常に勝ち点3を重ねていかないといけない状況で、引き分けが4試合続いているのは誰も期待していた結果ではない」と述べつつも、ここまで優勝争いを続けている選手たちを称える姿勢を強調した。 「神戸さん、C大阪さん、広島さん、今日の川崎さん、どれも勝つのが難しい相手。皆さんも気づいていると思うが、選手たちは全てを出し尽くしてくれている。我々だけではなくシーズン終盤はケガ人、累積警告、疲労という障壁を乗り越えないといけない。我々もそのような状況の中、既存の選手たちが1試合1試合全力を出し続けて、素晴らしい試合をし続けてくれている」 その上で「シーズンの頭、我々がシーズン終盤にこのような位置、二つのタイトルを争う位置にいると想像していた人は少なかったと思う。けれどシーズンを通じて素晴らしいパフォーマンスをしてくれている」と前評判からの躍進を指摘。「今日の引き分けによってリーグタイトルの争いからは若干後れを取っているが、何も諦めることなく最後まで戦い続けたい」とリーグ戦へのファイティングポーズを取りつつ、「ルヴァン杯もタイトルを目指し、今日の同じ相手であるフロンターレさんとホームアンドアウェーで戦い、タイトルを勝ち取るために引き続き既存選手たちと全力を出し続けていきたい」と10月のルヴァン杯準決勝にもモチベーションを示した。 (取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中