大エースが残したこれ以上ない置き土産。 アンデルソン・ロペスの惜別弾でダービーを制す [J23節 横浜FC戦レビュー]

後半に入って風向きが変わる

「本当に素晴らしい勝利だった」

 晴れやかな表情で試合を振り返ったのは大島秀夫監督だ。暫定の立場だったファジアーノ岡山戦から数えること4試合目。ようやく指揮官としての初白星を手に入れた。

もっとも前半の内容は手放しで喜べるものではない。ロングボールを多用する相手のスタイルにお付き合いした結果、適性と練度の差で後手を踏んだ。背後を狙う動きを繰り返すことに大きな問題はなくても、その次の一手が足りなかった感は否めない。

後半に入って風向きが少しずつ変わったのは「横浜FCの方が少し引いたのかなと。相手陣地に入る回数が多くなった」(大島監督)から。60分にエネルギッシュな松村晃助を投入し、68分にはウインガーの宮市亮をピッチへ送り込む。この試合でも早めの交代策で流れを引き寄せる試みがあった。

すると見事に流れが変わる。宮市は「僕は裏を狙って相手を一度押し下げてというのを考えていて、実際にそういうシーンもあった」と手応えを明かす。自陣ではなく敵陣でのプレー回数が増え、自然と相手ゴールが近づいていった。

迎えた76分、この試合の潮目と呼べるシーンが訪れる。左サイドでボールを受けたエウベルが内寄りに進路を取り、反対サイドへ展開。ボールを受けた加藤蓮がゴール前で待つアンデルソン・ロペスへ斜めのパスを送る。これに呼応した渡辺皓太が3列目から一気に飛び出し、相手GKと1対1の状況に。

先にボールに触った渡辺皓はシュートではなくPKを誘うプレーを選択。「最初はチョンと触ってシュートを狙おうとしたけど、GKが飛び込んでくると思ったのでPKを狙うように先に触れればと思ってPKを取りに行った」。笛を吹いた主審がペナルティスポットを指さすと、背番号6は大きなガッツポーズを繰り出した。

ようやく決まった今季2ゴール目

このPKを蹴るのは、もちろんエースストライカーのアンデルソン・ロペスだ。

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