ソフトバンクG孫氏の資産、約5.7兆円と過去最高に-AIブームで復活

ソフトバンクグループの孫正義社長の資産が最高額に膨らんだ。人工知能(AI)への大規模な投資が復活劇を支えている。

  ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、孫氏の資産は今年に入り144%増加。24日時点で387億ドル(約5兆7600億円)に達した。これは同指数が孫氏の資産算出を2013年に開始して以来、最高額だ。

  ソフトバンクG創業者の孫氏はかつて、ドットコムバブル崩壊前に3日間だけ世界一の富豪になった過去について冗談交じりに語ったことがある。現在は半導体メーカーからスタートアップまで世界のハイテク企業をポートフォリオに収めている。

  対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を展開する米OpenAIはオラクルおよびソフトバンクGと提携し、米国内の5カ所に新たなデータセンターを建設するため、約4000億ドルを投じる計画を23日に発表。これがAIブームに支えられてきた孫氏の資産拡大にさらに拍車をかけた。

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  ソフトバンクGの株価は24日に6%近く上昇し、25日も一時2%を超える上昇となった。決済アプリ大手のPayPay(ペイペイ)など有望企業の新規株式公開(IPO)計画や主要資産の売却が資金繰りの不安を和らげている格好だ。

  マッコーリーのアナリスト、ポール・ゴールディング氏は8月のリポートで「ソフトバンクGがAI関連で勢いに乗っているにもかかわらず」市場は依然として過小評価していると指摘した。

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  孫氏はエヌビディアや台湾積体電路製造(TSMC)などAI関連企業への大胆な投資を広げてきた。その成果がソフトバンクGの業績を押し上げ、同社をAIインフラ投資ブームの代表的な企業に変化させた。

  野心的な投資の中でも注目されるのが、OpenAIに対する約300億ドルの出資計画や65億ドル規模の半導体設計企業アンペア・コンピューティング買収計画だ。同買収は現在、規制当局が審査している。8月にはインテルに対する20億ドルの出資も発表した。

原題:Masayoshi Son’s Fortune Surges to $39 Billion Peak in Comeback(抜粋)

— 取材協力 Pui Gwen Yeung and Edwin Chan

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