「クマスプレー」のニセモノが横行……死亡事故に繋がる「悪質な模造品」を見分けるコツは?|まいどなニュース

人命に関わる「ニセモノ」絶対買わないで!(動画からキャプチャー/提供:YouTubeチャンネル「へんないきものちゃんねる」より)

日本への渡航者に対して英国政府が「熊」に関する注意喚起を出すなど、今年度の日本国内における熊の出没数と対人事故の件数は、もはや災害級の脅威となっている。

そんななか、猟銃以外の積極的な熊対策として推奨されているのが、「クマ避けスプレー」だ。

だが、インターネットショップなどではこの「クマスプレー」の模造品が横行しているという。

若い命を奪った「不適正なクマスプレー」

「【偽物のクマよけスプレーに注意して下さい】Amazonでも正規店以外から購入すると、効果が不明な模造品が届く場合があります。また、クマに効果のない商品なのに、『クマ撃退にも』と記載されていることも多いため、必ず認証を得ているものを確認して購入して下さい」

そうつぶやき、X(旧Twitter)に「模造品」と「正規品」の比較画像を投稿したのは、さまざまなユニークな生き物をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル『へんないきものチャンネル』を運営する、ろう・へんないきものチャンネル (@youko_rou)さん。

ろうさんは続けて、「羅臼岳の事故も効果のないクマよけスプレーを携行していたと言われています。命を守るものなので、確実に安全なものを選びましょう(店頭購入がおすすめです)」と、ポスト。

羅臼岳の事故とは、2025年8月に発生した「羅臼岳登山道におけるヒグマ人身事故」のこと。

知床財団の調査速報によると、亡くなった被害者の「同行者」は「クマよけスプレー」を謳った商品を所持。

しかし「ヒグマに対応した製品」ではなく、かつ再利用品であったため、「事故発生時の初期対応においてスプレーの使用を試みたものの、噴射できていなかった」という。

熊撃退スプレーの「模造品」(左)と、株式会社 トウキョウジュウホウさんが取り扱っている「正規品」(右)(画像提供:株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)

人命を軽視した悪質な商品

人命に関わる重大な事案ということで、ろうさんは自身のYouTubeチャンネルでも「ニセモノのクマスプレー」に対する注意喚起の動画を投稿している。

「通販などで『クマスプレー』を検索すると、かなりの数で対人用の催涙スプレー的なものが出てきます。こういったものは効果も飛距離もクマを想定しておらず、効果がないにも関わらず『クマよけにも』という一文が記載された商品が多いです。

また、日本で使用する場合、小柄なツキノワグマ用か、大型のヒグマ用かを確認する必要があります。また、クマスプレーは基本的に使い切りです。一度発射すると5~10秒程度で空になる仕様なので、『ニセモノかも?』と思っても試し吹き出来ない落とし穴があります。消費者的には『少しでも安く買いたい』と思うかもしれませんが、効果のない商品を安易に買うのは命の危険があります」(ろう・へんないきものチャンネルさん)

ニセモノは梱包も雑だという(動画からキャプチャー/提供:YouTubeチャンネル「へんないきものちゃんねる」より)

消費者が”だまされている”状態

今回のろうさんの投稿に対して、「正規品」を販売する株式会社トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.(@tokyojuho)さんも、「消費者が”だまされている“状態です。”ニセモノコピー品“問題が実は大変(弊社も困っておりました)でして、アマゾン等に連絡して取り合ってもらうのも一筋縄ではなかったです…」と引用リプライを投稿。

人命を守るクマスプレーの「正規品」と悪質な「模造品」をどう見分ければいいのか? 

銃器、狩猟・アウトドア・防犯用品等の輸入・卸・小売り販売をする株式会社トウキョウジュウホウさんに聞いた。


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ヒグマ ※写真はイメージ(WildMedia/stock.adobe.com)

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