混沌の北陸新幹線ルート問題、自民逆風も票を食い合う立国維 共産は伝統的な強さ 激変・参院選2025③

総決起大会で必勝を誓う西田昌司氏(中央)=14日、京都市中京区

「4回目の選挙は一番厳しい選挙だ。しかし、断じて負けるわけにはいかない」

14日、京都市のホテルであった自民党京都府連の総決起大会で、4選を目指す西田昌司(66)が気勢を上げた。約千人が詰めかけた会場は万雷の拍手に包まれ、陣営関係者は「思った以上に盛り上がった。いいスタートが切れた」と胸をなでおろす。

6年前の参院選で、次点に17万票以上の差で圧勝した西田。ただ自らも「一番厳しい選挙」と認めるように、かつてない逆風が吹いている。

一つは「政治とカネ」。政治資金収支報告書への派閥パーティー収入の不記載があり、ネガティブなイメージは今も払拭できていない。

西田が与党整備委員会の委員長として推進する北陸新幹線延伸計画の小浜ルートを巡っても、地元の京都市議会が、市内の大深度地下にトンネルを通すことへの反対を表明。延伸を巡る議論はさらに混沌(こんとん)とする。

舌禍も記憶に新しい。5月に那覇市であったシンポジウム。「ひめゆりの塔」の展示説明を「歴史の書き換え」などと発言し、批判を集めた。西田は月刊誌「正論」などを通じ発言の真意を説明。参院選では他候補からの厳しい追及が予想されるが「参院選での争点化を避けるため、この問題に自ら触れることはしない」(陣営関係者)。

空前の好機到来も…

ただ、こうした空前の好機を前に「非自民非共産」の野党系勢力も共倒れの危機に直面する。

「野党系で2議席を占めることも可能だ。既存政党の枠組みを京都から変えたい」。国民民主党代表の玉木雄一郎は7日、新人で元府議の酒井常雄(63)の出馬会見に同席し力を込めた。

3年前の参院選で日本維新の会候補を、6年前は立憲民主党候補をそれぞれ推薦・支持し、京都での独自候補の擁立を見送ってきた国民。今夏の参院選でも連合京都は立民と国民に候補者調整を求めていたが、立民は3月、新人で元衆院議員の山本和嘉子(56)の擁立を発表。両党が最後まで相いれることはなかった。

なぜなら京都では、国民は維新とも近しい関係にあるからだ。

府議会で統一会派を組むばかりか、維新共同代表の前原誠司と酒井は、過去に国民京都府連代表と幹事長という仲。だからといって、国民と維新が候補の一本化を図れるわけでもなく、維新は知名度の高い元民放アナウンサー、新実彰平(36)の擁立を決定。前原は「票を食い合う面は多々あると思う」と話す。

父は元大臣

6年前の参院選で、2位で当選したのが共産党現職の倉林明子(64)。党勢の衰退が指摘される共産だが、京都では伝統的な強さを誇る。

ほかにも、北陸新幹線延伸の現行計画の是非を争点に掲げる無所属の二之湯真士(46)は元自民府議で、父は元参院議員で国家公安委員長を務めた二之湯智。西田が集中砲火にさらされる中、保守票の行方にも注目が集まる。

また過去に共産候補を支持したれいわ新選組新人の西郷南海子(37)ら、各党の思惑が複雑に絡み合う。ある陣営幹部はこう漏らす。

「どこの党も票が割れる要素がある。かつてない混戦で、投票日まで展開が読めない」(敬称略)

【激変・参院選2025②】〝仁義なき〟候補一本化で立民内部にすきま風も 現職公認漏れでなお余震 広島選挙区

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