イタリアに2兆円超の余地、利回り低下寄与-メローニ政権の安定が支え

Alessandra Migliaccio

  • フランス債利回り下回る、ドイツとの利回り差は15年ぶり低水準
  • メローニ政権、1946年の共和制成立以降で4番目の長期政権に

イタリア政府の予算編成を進める当局者は、最大130億ユーロ(約2兆2400億円)の追加財政余地を見込んでいる。事情に詳しい関係者が明らかにした。借り入れコストの低下が寄与したという。

  機密情報を話しているとして匿名を条件に述べた関係者によると、内訳は今年節減できた50億ユーロと、2026年に見込まれる80億ユーロの合計だ。政府当局者は、10月中旬までに議会に提出しなければならない予算案の策定作業にこれらの数値を反映させるという。

  こうした前提は不確実性を伴うが、財政のゆとりが実現すれば、メローニ政権下での財政規律と政治的安定が公的財政を下支えしていることがうかがえる。

  安定するイタリアとは対照的に、フランスでは政権が崩壊し、財政難は深刻化。フランスの国債利回りはユーロ圏史上初めてイタリアを上回った。

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  今回の転換は単にフランスの混乱が影響しているだけではない。リスク指標となるイタリアとドイツの利回り差は15年ぶり低水準に縮小した。イタリア10年債利回りは、3月の4%超から直近では3.5%を下回っている。

  市場の変動によってもたらされた財政的な恩恵によって、メローニ政権は、財政赤字を欧州連合(EU)が定める国内総生産(GDP)比3%の上限以下に抑えられる見通しが強まっている。

  財務省の報道官は予算案についてのコメントを控えた。

  イタリア債利回り低下の背景には、財政再建への取り組みに加え、政権の安定が大きく寄与している。メローニ首相は8月にベルルスコーニ元首相の最後の任期が2011年に終わって以来、最長の在任首相となった。

  メローニ政権は、1946年の共和制成立以降で4番目に長い政権となり、これまで同国の政局を特徴づけてきた危機や閣僚交代の常態化を経験していない。

原題:Italy’s Lower Bond Yields Reap €13 Billion Windfall for Meloni

(抜粋)

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