女性が40年ぶりに家族と再会、母親が連れ去りか 米ケンタッキー州

40年以上ぶりに再会したジョセフ・ニュートンさんと娘のミシェル・ニュートンさん/WLKY

(CNN) 保安官事務所が作成した行方不明者のチラシには、3歳のミシェル・ニュートンちゃんが、水兵風の服を着て、カメラに向かってポーズを取り、満面の笑みを浮かべていた。チラシには「ミシェルちゃんは母親に連れ去られた」と記されている。

現在、46歳となったミシェル・ニュートンさんは癒やしへの道を歩み始めている。一方、母親は1件の罪に問われている。

ケンタッキー州ジェファーソン郡の保安官事務所の発表によると、今回の事件は1983年春に起きた。母親のデブラ・ニュートン被告は「新しい仕事を始め、家族のための新居を整えるため」ケンタッキー州ルイビルからジョージア州に転居すると主張していた。

CNN提携局WLKYは86年、娘を3年間捜し続けていた父親のジョセフ・ニュートンさんに話を聞いている。ジョセフさんは当時、家族はジョージア州に移る計画だったとし、母親がミシェルさんを連れて行ったと語った。

ジョセフさんがジョージア州に到着したときには、すでに2人の姿はなかったという。

保安官事務所によると、84年から85年の間に、デブラ被告とジョセフさんの間で「最後の電話」があった。その後、「母と娘はともに姿を消した」という。

監護権侵害の起訴状がすぐに出された。

ジョセフさんは約40年前、WLKYの取材に、自分の子どもを取り戻したいと思わない親がいるだろうかなどと訴えていた。

3歳のミシェル・ニュートンさん/Jefferson County Sheriff's Office

チラシによれば、警察は当時、ミシェルちゃんが、ジョージア州アトランタ中心部から約32キロ離れたクレイトン郡にいる可能性があるとみていた。

しかし、母親と娘の行方は分からないまま。この事件は連邦捜査局(FBI)の「親による誘拐の最重要指名手配8人」にも含まれていた。だが2000年、ケンタッキー州当局が父親と連絡を取れなかったことを理由に事件は棄却された。

保安官事務所によれば、さらに5年後、当時20代だったはずのミシェルさんは、全米の行方不明児童のデータベースから削除された。05年には「不正確な情報」を理由に、母親への監護権侵害の訴状も取り消されたという。

事件は16年、親族の1人が「再調査を促した」ことをきっかけに再び起訴された。

解決がもたらした再会

今年に入り、66歳のデブラ被告が、別の名前を名乗ってフロリダ州マリオン郡にいるのが確認された。

匿名の人物から得られた情報を当局に提供するプログラム「クライム・ストッパーズ」への情報提供を受け、連邦保安官局の捜査官が最近の写真と1983年の写真を比較。ジェファーソン郡の刑事が似ていることを確認した。

当局がルイビルに住むデブラ被告の姉妹からDNAを採取したところ、フロリダ州の女性と「99.9%一致」した。

警察が自宅を訪ねてきた際の出来事について、ミシェルさんはWLKYに対し、警官から「あなたは、自分が思っている人物ではありません。あなたは行方不明者です。あなたはミシェル・マリー・ニュートンです」と言葉をかけられたと振り返った。

別の身分で暮らしていたミシェルさんは、自身の本当の家族について知り、ジェファーソン郡保安官事務所に連絡した。

保安官事務所幹部のスティーブ・ヒーリー氏は「ミシェルさんは、失ってきたものをすべて目にして、初めて自分が被害者だったと気づいたと言っていた」と語った。

「娘はいつも心の中にいた」。そうジョセフさんはWLKYに語った。「部屋に入ってきて、再び娘を抱きしめたあの瞬間は、言葉では言い表せない」

過去を振り返るミシェル・ニュートンさん/WLKY

ヒーリー氏は声明で、40年以上が経過しての事件の解決は、保安官事務所の「並外れた」捜査活動の伝統を反映しており、その中には「助けを求める家族を決して拒否しない」という長年の理念も含まれると語った。

ヒーリーはまた、勇気ある情報提供者の重要性も示したと指摘した。「通報の電話は『密告』だと考える人もいるが、そうではない。被害者を助け、家族を助けている。この事件は、1本の電話が人生を変えることを証明している」

デブラ被告の親族がケンタッキー州を訪れ、保釈金を支払った。

出廷したデブラ・ニュートン被告/WLKY

検察当局によると、デブラ被告は監護権侵害の罪で訴追された。ケンタッキー州では、監護権侵害を伴う誘拐の重罪には時効がない。

発表によると、デブラ被告は自主的にルイビルの裁判所に出廷し、罪状認否に臨んだ。

法廷にはミシェルさんとジョセフさんも同席していた。

ミシェルさんは、どちらか一方の肩を持つつもりはないようだ。「私の意図は、この状況を乗り越えるために2人を支え、2人がうまく乗り越え、この状況を終わらせ、私たち全員が癒されるよう手助けすることです」

関連記事: