「まるでタイムカプセル」...海底2600mに沈んだ大昔の船から見つかった、大量の「積み荷」とは?(ニューズウィーク日本版)

フランス領海で発見された最も深い場所にある沈没船、「カマラ4」。3月にフランス海軍に発見された長さ約30メートル、幅約7メートルとなるこの商船は、サン=トロペ近くのラマチュエル沖、地中海の海底約2600メートルの深さに沈んでいる。 【動画】沈没船から見つかった、保存状態が良好すぎる「積み荷」 そして最近、カマラ4とともに沈んだ500年以上前の「積み荷」の詳細が徐々に明らかとなり、注目を集めている。 カマラ4は16世紀の船と見られている。注目すべきは、船体と積み荷の保存状態が極めて良好である点だ。同船を発見したフランス海軍も、この発見は前例のないものだとした上で、貴重な研究の機会を提供するものだと語る。 フランス海軍は、南東部のフランス沖で「海底の管理」を目的とした作戦を実施していた際、海底で大きな構造物を探知。水中カメラにより、それが地図に載っていない沈没船であることが判明した。 その後、フランス文化省の水中・海底考古学調査局によってそれがフランス沖で確認された中で、最も深い場所に沈んだ沈没船だと確認された。

この船には大砲6門、大釜2基、複数の錨が積まれていたことが、調査により明らかになった。水中・海底考古学調査局によると、カマラ4は沈没前にイタリア北部の港を出港した可能性が高い。 船尾が空であったことなどから、船が転覆して沈んだ可能性がある。 積み荷には、形状がさまざまで模様も残っている陶器製の水差し約200点のほか、皿などの品々が含まれていた。フランス海軍によれば、まださらなる遺物が見つかる可能性があるという。 これらの水差しは、イタリア北西部に位置しフランス国境にも近い海沿いの地域、リグーリアで作られたものと考えられている。 保存状態も良好だ。仏ル・モンド紙によると、南フランスのプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール(PACA)地域を管轄する水中・海底考古学調査局の考古学者、マリーン・サダニアは、6月11日の記者会見で「これはまさにタイムカプセルであり、この船は時が止まっているかのようだ」と述べた。 カマラ4以外にも、地中海では多数の古代沈没船が発見されている。2023年にはイタリア沖で2000年前のローマ時代のテラコッタ製の壺が載った沈没船が見つかった。また、2018年にはブルガリア沖でギリシャの商船が発見されている。 ほかにも、クロアチア沖の海底で見つかった約2000年前の非常に保存状態の良い沈没船が発見されるなど、多数の事例がある。 海底に沈んだ大昔の船から、どんな発見が飛び出してくるのか。今後の調査の進展が待たれる。

ジャスミン・ローズ

ニューズウィーク日本版
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