出国税、3000円に引き上げ案。日本人も対象、「JESTA」は28年度導入へ

出国税(国際観光旅客税)を現行の1,000円から3倍の3,000円に引き上げる案が浮上しています。日本人も対象になる見込みで、かわりにパスポート取得時の手数料を引き下げます。いっぽう、訪日観光客を対象とした電子渡航認証制度(JESTA)は、2028年度に導入される予定です。

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3,000円に引き上げ案

国際観光旅客税(出国税)は、現在、1人1,000円を出国時に徴収されています。外国人だけでなく日本人も対象で、日本を出国する際に支払う必要があり、航空機や船の料金に上乗せされています。2024年度は、過去最大の524億円の税収がありました。

毎日新聞11月11日付によると、この金額を3,000円に引き上げる案が政府内で検討されています。実現すれば、海外旅行に出かける際、日本人であっても毎回3,000円を支払わなければならなくなります。

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政府内では、かわりに日本人のパスポート取得時の手数料の引き下げを検討しているようです。パスポート取得手数料は、10年旅券の場合15,900円です。これを1万円程度引き下げて、6,000円程度にする案が浮上しているとのことです。

パスポート取得手数料は、たしかに高すぎますので、値下げは妥当に思えます。とはいえ、パスポートを1万円値下げしても、出国税が2,000円値上げなら、10年で6回以上海外旅行に行けば負担増となります。

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出国税増税の名目は、オーバーツーリズム対策です。増税で得た税収は、国内のオーバーツーリズム対策に充てられます。ただ、その負担を、海外旅行に出かける日本人が負担しなければならないのは、筋違いのようにも思えます。

訪日外国人のみを対象とする「入国税」にできないのかという意見もあり、賛同する人も多そうです。

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じつは、日本では、新たに電子渡航認証制度を2028年度に導入する準備を進めています。ビザが免除されている国・地域からの渡航者に対し、渡航前にオンラインで申請・審査を行う仕組みで、「JESTA」と呼ばれています。

JESTAでは、取得時に手数料を課す予定です。金額は未定ですが、アメリカのESTA(40ドル)程度になると考えられています。

これがいわゆる「入国税」に相当するものになりそうですが、今回は、それとは別に「出国税」を値上げするという話です。

出国税を値上げして、JESTAで手数料まで取るとなると、外国人旅行者の負担が重すぎるのではないか、という気もします。JESTA導入時に、出国税を値下げ、または撤廃して、旅行者の負担を減らせないものでしょうか。

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海外旅行時には、出国税のほか、空港施設使用料がかかります。羽田空港で2,950円、関西空港(第1ターミナル)では2,780円です。あわせて6,000円近い金額になります。

海外旅行に頻繁に行く人は、LCCのセールなどを狙って格安旅行を試みていますが、出国税は逃れようがありません。日本人海外旅行者は、最近ようやく回復傾向ですが、増税で水を差すことにならなければよいのですが。(鎌倉淳)

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