リンゴに執着“巨大グマ出没”なぜ果物被害相次ぐ?専門家解説 群馬・岩手・秋田・山形<br />
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相次ぐ市街地でのクマ出没に警察が本格視察に動きました。木の実などを餌(えさ)にするクマがなぜ果物に執着するのか。そこには今年ならではの理由がありました。
クマ対策本腰 警察が出没地視察
群馬県みなかみ町のリンゴ園に設置したカメラが記録していたのは、巨大なクマがリンゴを頬張る様子と、その咀嚼(そしゃく)音でした。そしてカメラに近付くと、クマの息遣いまで聞こえてきました。
連日のように人里に現れるクマ。対策が進められています。13日からは警察官によるライフル銃を使ったクマの駆除が可能に。それを前に…。
盛岡市役所の目の前を流れる川では、対応する警察官らによる視察が行われていました。
この場所は先月、クマが出没。
住民に被害が及ばないように警察が指揮をとり、警戒にあたっていた場所でした。
11日はその緊迫の現場で地元猟友会のメンバーからクマの特性や、市街地でライフルを使う際の注意点などの説明がありました。警察官からの質問も…。
柿やリンゴなど食い荒らす
11日も各地でクマの出没や被害が相次いでいます。
午前3時ごろ、何かを食べている様子の大きなツキノワグマ。これは富山市が設置したカメラが捉えた映像です。
秋田市では、鎖でつながれていた犬が体長1.5メートルのクマに連れ去られるのを、住民が目撃していました。
山形県米沢市では柿の木の近くにクマが出没。警察によりますと、近くを散歩していた75歳の男性が、後ろからクマに襲われました。顔や肩をひっかかれましたが、意識はあり会話はできる状態だということです。
やはり柿の木にクマが引き寄せられているのは間違いなさそうです。
秋田県大館市、時間帯は夕方です。トラックが走る道路沿いの木には、クマのシルエットが。柿の木に登る1頭のクマです。表情はうかがえませんが、じっと体勢を変えずにいます。
福島県の喜多方市でも、名産の柿の木にクマが居座る様子が撮影されています。
撮影した人によると、周囲にはあちこちにクマが木の上で座るために枝を折ってつくる「くま棚」ができていたそうで、クマが柿の木に長時間居座っていたとみられます。
全国的な傾向かは分かりませんが、兵庫県内を調査したデータでは、クマを人里に引き寄せる原因となる“誘引物”は71%と圧倒的に「柿」が占めていました。ただ、それぞれが10%にも満たない「柿」以外の果物にも、今年は数多くクマが引き寄せられています。
暗闇の中、2つの目が白く浮かびあがります。ツキノワグマです。ここは、山形県上山市の果樹園です。クマが立ち上がり狙っていたのは、意外な果物です。
この「実」の形、洋梨です。
これまでもクマの出没はありましたが、今年は異常な頻度で「シルバーベル」や「ラ・フランス」など重さにして2トンを超える食害に遭ったそうです。
さらに、被害は関東の果樹園でも。群馬県のみなかみ町。クマの接近を防ぐため、花火を鳴らし、案内してもらうと…。
そこには、かじられたリンゴが…。
リンゴ園のオーナーに許可をもらい、先週末、4台のカメラを設置しました。
すると、翌日…。
映像を確認してみると、巨大なクマの姿が。画面中央にクマはいます。クリアに聞こえるのは、クマが落ちていたリンゴを食べる咀嚼音。音だけでなく、はっきりとリンゴを頬張るクマの顔も映っています。
そして、カメラの方に近付くと、カメラの存在に気付いたのでしょうか。クマが設置したカメラに触れ、向きを変える様子まで映っていました。
また同じ時間帯、別のカメラにも丸々と太ったクマの姿が。まるで、ヒグマのような体型のツキノワグマに、専門家は…。
本来、リンゴなどの果物は水分が多く、クマにとって腹持ちが良いとは言えないはずですが…。
なぜ果物に執着するのでしょうか。専門家は執着せざるを得ないのが実情だと話します。