米中露がせめぎ合う核の新時代へ 揺らぐ均衡と米国の焦燥感

激動期の安保

毎日新聞 2026/8/20 18:00(最終更新 8/20 21:53) 有料記事 1495文字
講演する米国家核安全保障局(NNSA)のブランドン・ウィリアムズ局長=米首都ワシントンのハドソン研究所で2026年6月18日、平野光芳撮影

 6月中旬、米首都ワシントンのシンクタンク「ハドソン研究所」で開かれた講演会。登壇した米国家核安全保障局(NNSA)のブランドン・ウィリアムズ局長は「米国は史上初めて二つの核大国と対峙(たいじ)している」と危機感をあらわにした。

 NNSAは、核兵器の設計や製造を担うエネルギー省傘下の組織。ウィリアムズ氏は昨年、トランプ大統領の指名で局長に就任した。政権の核政策を左右するキーマンだ。この日、核兵器の生産能力や維持管理態勢の向上が「国家の緊急の優先課題だ」と訴えた。

中国が急速に核戦力の増強を図っており、これまでの米国とロシアの「二つの核超大国」の時代から、米中露の「三つの核超大国」がにらみ合う時代へと変容しつつあります。核戦争は起きないという冷戦後の前提は維持されるのでしょうか。3カ国の核兵器を巡る動きと戦略に迫ります。<関連記事>

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 米国の焦燥感をかき立てるのが、急速に核戦力の増強を図る中国の存在だ。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2026年1月時点の中国の核弾頭総数は推計620発。6年で倍増しており、10年後には現在の3倍近くに増加するとの見方もある。仮に米国が核兵器の製造能力で中国に後れを取れば、米国の安全保障は重大な危機を迎える。

 冷戦以降、米国と旧ソ連、その後継国家ロシアの2大国が核戦力を主導する時代が続いた。一方が核兵器で攻撃した場合、他方が残った核兵器で確実に報復するために双方が壊滅するという「相互確証破壊(MAD)」の状況下で抑止力が働き、互いの能力を見極めながら核軍縮の交渉のテーブルに着くこともできた。

 しかし、急速な核戦力の増強を図る中国の台頭で、核兵器に関して米中露の「3大国」の状況に向かいつつある。バランスを取ることは格段に難しくなり、核開発競争に収拾がつかなくなる恐れがある。

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