米中閣僚協議、関税発動の停止期限「90日間延長」で一致…最終判断はトランプ氏に

 【ストックホルム=中西梓、北京=照沼亮介】米中両政府は29日、スウェーデンのストックホルムで貿易問題を巡る2日目の閣僚級協議を行い、8月12日に迫っていた関税発動の停止期限を90日間延長する方針で一致した。協議に参加した米国のベッセント財務長官が30日にもトランプ米大統領に内容を説明し、トランプ氏が期限を延長するかどうかを最終判断する。

米中閣僚級協議の終了後に記者会見するベッセント米財務長官(左)とグリア米通商代表部(USTR)代表(29日、スウェーデンのストックホルムで)=中西梓撮影

 中国の 李成鋼(リーチョンガン) 商務省国際貿易交渉代表は協議終了後に、米国の「相互関税」への対抗措置の一時停止を継続すると表明した。両国は対話を続けることで、貿易摩擦が再び激化するのをひとまず回避した形だ。

 ベッセント氏は終了後に記者会見し、「我々は(米中両国の経済の)デカップリング(切り離し)を望んでいない」と強調した。中国の李氏も「米中双方は引き続き緊密に連絡を取り合い、貿易関係の安定的で健全な発展を推進していく」と記者団に述べた。

 米中は5月の閣僚級協議で、互いの追加関税を91%分撤廃したうえで、24%分の関税を90日間停止することで合意した。今回の閣僚級協議は停止期限を2週間後に控える中、期限延長で合意できるかが焦点だった。

 協議の直前には、米中の首脳会談を今秋にも対面で実施することで合意する可能性も報じられた。ベッセント氏は記者会見で「会談開催については議論しなかった」と否定したが、トランプ米大統領は29日、中国の 習近平(シージンピン) 国家主席との対面会談を「楽しみにしている。年末までに開催できると思う」と記者団に語った。ベッセント氏から、中国との貿易協議が「非常にうまくいった」との報告を受けたという。

 閣僚級協議は28~29日に行われ、米国からはベッセント氏とグリア米通商代表部(USTR)代表が、中国からは 何立峰(フォーリーフォン) 副首相らが参加。米国は中国による過剰生産やロシア産原油の輸入についても、懸念を表明したという。

 米中は新たな関税停止期限が終了するまでに、次回の閣僚級協議を開く方針だ。

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