【世界陸上】9日間で61万人超が入場…なぜ大盛況だった? 担当者明かす“1年前からの戦略”
陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)が21日に閉幕した。
34年ぶりに東京で行われ、9日間で61万9288人が入場。過去に日本で開催された91年東京大会の58万1462人、07年大阪大会の35万9000人を大きく上回った。
なぜ大盛況となったのか-。チケットの販売や広報などを担当した東京2025世界陸上財団の大内悠資氏が、成功の理由を語った。
◇ ◇ ◇
今大会のチケット販売は1年前から始まっていた。先行販売を開始したのは、パリ五輪期間中の8月5日。日本時間の未明に男子100メートル決勝が行われた日とあり、陸上への注目が高まるタイミングだった。
大内氏は「早く売ることで、どの種目の日が売れるのかが分かる。そうすれば戦略も立てやすい」と振り返る。販売プランを立てるためにも、早めに始動した。
パリでは女子やり投げの北口榛花が金メダルを獲得。今年1月31日からの一般販売では、同種目決勝日の第8日の売れ行きが好調だった。一方で第4日から4日間続く平日の夜セッションはやや停滞していた。陸上の世界選手権は、9日間の連続開催が特徴の1つ。そこで「最初の3日間を大事にしよう」と狙いを定めた。
日本選手権開幕の約2週間前にあたる6月20日からは、追加販売も開始。こまめに販促の波を作り、6月末までに約75%を売り上げた。
97年から22年まで13大会連続でTBS系メインキャスターを務めた俳優織田裕二が“カムバック”した影響も大きかった。昨年10月に大会スペシャルアンバサダーに就任し、年始には同局系で1月3日放送「マツコの知らない世界」に出演。正月番組で夏のコンテンツをPRするのは異例だった。
その後も定期的にイベントに出席。大会開催中も同局中継を連日盛り上げ、陸上ファン以外への認知を高めた。「織田さんの活躍もありがたかった」という。
そして何よりも、日本勢の活躍が熱狂を生んだ。今大会の入賞数はメダル2個を含む「11」。前回の23年大会に並んで過去最多となり、トラックの個人種目でも4人が入賞と健闘した。
ある関係者は「注目度の高い男子100メートルで日本人全員が予選敗退したが、それが目立たないほどだった」と指摘。大内氏も「日本選手が幅広い種目で活躍したことでチケットの売れ行きにもさらに火が付いた」と強調した。
早期の販売戦略、織田のスペシャルアンバサダー就任、日本勢の健闘。この3つが、大盛り上がりの9日間につながった。【藤塚大輔】
■世界陸上振り返り■
★13日 競歩男子30キロで勝木隼人が3位に入り、日本勢メダル第1号。男子100メートルで15年北京大会以来の日本人3人全員予選落ち。女子1万メートルで広中璃梨佳が2大会連続入賞の6位。混合1600メートルリレーで日本が初の8位入賞。
★14日 女子マランンで小林香菜が7位入賞。男子100メートルはセビル(ジャマイカ)が9秒77で氏制す。
★15日 男子3000メートル障害で三浦が2大会連続入賞の8位。男子棒高跳びでデュプランティス(スウェーデン)が6メートル30世界新で3連覇。
★16日 男子110メートル障害で村竹ラシッドが5位入賞。男子走り高跳びで赤松諒一が2大会連続8位入賞。
★17日 女子200メートルで井戸アビゲイル風香が日本勢14年ぶり予選突破。
★18日 男子400メートルで中島佑気ジョセフが91年の高野進の7位を超える同種目日本勢最高の6位入賞。
★19日 女子やり投げで前回覇者の北口榛花が予選落ち。男子200メートルでライルズ(米国)が4連覇でボルトと並ぶ。
★20日 競歩女子20キロで藤井菜々子が銅メダルで五輪も含めて日本女子競歩初の表彰台。
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陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)が21日に閉幕した。
34年ぶりに東京で行われ、9日間で61万9288人が入場。過去に日本で開催された91年東京大会の58万1462人、07年大阪大会の35万9000人を大きく上回った。
なぜ大盛況となったのか-。チケットの販売や広報などを担当した東京2025世界陸上財団の大内悠資氏が、成功の理由を語った。
◇ ◇ ◇
今大会のチケット販売は1年前から始まっていた。先行販売を開始したのは、パリ五輪期間中の8月5日。日本時間の未明に男子100メートル決勝が行われた日とあり、陸上への注目が高まるタイミングだった。
大内氏は「早く売ることで、どの種目の日が売れるのかが分かる。そうすれば戦略も立てやすい」と振り返る。販売プランを立てるためにも、早めに始動した。
パリでは女子やり投げの北口榛花が金メダルを獲得。今年1月31日からの一般販売では、同種目決勝日の第8日の売れ行きが好調だった。一方で第4日から4日間続く平日の夜セッションはやや停滞していた。陸上の世界選手権は、9日間の連続開催が特徴の1つ。そこで「最初の3日間を大事にしよう」と狙いを定めた。
日本選手権開幕の約2週間前にあたる6月20日からは、追加販売も開始。こまめに販促の波を作り、6月末までに約75%を売り上げた。
97年から22年まで13大会連続でTBS系メインキャスターを務めた俳優織田裕二が“カムバック”した影響も大きかった。昨年10月に大会スペシャルアンバサダーに就任し、年始には同局系で1月3日放送「マツコの知らない世界」に出演。正月番組で夏のコンテンツをPRするのは異例だった。
その後も定期的にイベントに出席。大会開催中も同局中継を連日盛り上げ、陸上ファン以外への認知を高めた。「織田さんの活躍もありがたかった」という。
そして何よりも、日本勢の活躍が熱狂を生んだ。今大会の入賞数はメダル2個を含む「11」。前回の23年大会に並んで過去最多となり、トラックの個人種目でも4人が入賞と健闘した。
ある関係者は「注目度の高い男子100メートルで日本人全員が予選敗退したが、それが目立たないほどだった」と指摘。大内氏も「日本選手が幅広い種目で活躍したことでチケットの売れ行きにもさらに火が付いた」と強調した。
早期の販売戦略、織田のスペシャルアンバサダー就任、日本勢の健闘。この3つが、大盛り上がりの9日間につながった。【藤塚大輔】
■世界陸上振り返り■
★13日 競歩男子30キロで勝木隼人が3位に入り、日本勢メダル第1号。男子100メートルで15年北京大会以来の日本人3人全員予選落ち。女子1万メートルで広中璃梨佳が2大会連続入賞の6位。混合1600メートルリレーで日本が初の8位入賞。
★14日 女子マランンで小林香菜が7位入賞。男子100メートルはセビル(ジャマイカ)が9秒77で氏制す。
★15日 男子3000メートル障害で三浦が2大会連続入賞の8位。男子棒高跳びでデュプランティス(スウェーデン)が6メートル30世界新で3連覇。
★16日 男子110メートル障害で村竹ラシッドが5位入賞。男子走り高跳びで赤松諒一が2大会連続8位入賞。
★17日 女子200メートルで井戸アビゲイル風香が日本勢14年ぶり予選突破。
★18日 男子400メートルで中島佑気ジョセフが91年の高野進の7位を超える同種目日本勢最高の6位入賞。
★19日 女子やり投げで前回覇者の北口榛花が予選落ち。男子200メートルでライルズ(米国)が4連覇でボルトと並ぶ。
★20日 競歩女子20キロで藤井菜々子が銅メダルで五輪も含めて日本女子競歩初の表彰台。