「考え過ぎることは創造的にいい影響を与えない。だから、意味性も結果も考えない」88歳・横尾忠則、元気の素を科学的に解明【和田秀樹対談②】(GOETHE)

和田 対談1回目で「飽きっぽい」という話をしました。じつは今ある本の解説文を書いているのですが、偶然それが横尾さんの今のお話にも通じていて。 横尾 どんなお話ですか? 和田 スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンという人の本なんですけど。彼は自分がADHD(多動症)だと告白していて「多動症の人が世の中を進歩させてきた」みたいなことを言っているんです。 横尾 面白いですね。どうやって進化させたんですか? 和田 横尾さん、聞き上手(笑)。人類の祖先は森からサバンナに降り、そこから世界に広まりました。そのなかには、同じ場所にいるのを好む人と、新しい場所を求めて動く人がいたらしい。で、移動する遺伝子を多く残す人が多動なんだそうです。多動の人は常にドーパミンが足りないので、それを求めて動き続けた。それが天才性にもつながったらしいんですよ。 横尾 なるほどね。僕は天才とは思わないけど、多動なのかなと思います(笑)。 和田 ジャングルでじっとしているやつは置いてきぼりになるし、飯も食えなかった。多動のほうが有利だったんです。ところが2万年ぐらい前に農耕が始まると、同じ場所にいるほうが有利になった。そして200年ぐらい前に学校が始まると、多動な人を邪険に扱うようになった。そんなことが書かれた本です。 横尾 なるほど。だけど僕は、考えを固定化することには恐れを感じますね。常に動いてないと安定しない、落ち着かない。 和田 だから横尾さんはクリエイティブなんですよ。 横尾 考え過ぎることは創造的にいい影響を与えない。考えるってことに目的を持ったり、意味性を求めたりすると、どうしても固定化してしまいますね。だから僕は、何かをするときには意味性も結果も考えません。常に流動的。僕の性格にも合ってるし、自由な感じもします。 和田 私は医学の世界にいるんですが、考え方が50年前とほとんど変わってないんです。例えば、人間を臓器に分けて見る医療をしても病気は減らないし予防もできない。それなら「全体を見よう」って改めてもいいはずなのに、それをしない。 横尾 お医者さんは、相対的に唯物論者が多いですからね。

GOETHE
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