北朝鮮は韓国・李在明政権との対話拒否、金与正氏が談話「前任者と少しも違いがない」「興味ない」
【ソウル=仲川高志】北朝鮮の 金正恩(キムジョンウン) 朝鮮労働党総書記の妹、 金与正(キムヨジョン) 党副部長は28日に談話を発表し、韓国の 李在明(イジェミョン) 政権との対話に応じない立場を明らかにした。北朝鮮国営の朝鮮中央通信が報じた。北朝鮮が李政権に対する公式の立場を示すのは初めてだ。北朝鮮との意思疎通を通じて緊張緩和を目指してきた李政権は、引き続き南北対話の再開を目指す方針だが、道のりは険しい。
金与正氏=ロイター与正氏は「我々はソウルでいかなる政策や提案が出てこようと興味がなく、韓国と向き合うことも、議論する問題もない」と強調した。韓国軍が南北軍事境界線付近で行ってきた、北朝鮮の体制を批判する宣伝放送を先月取りやめたことについては「評価されるようなことにはならない」と切り捨てた。その上で「韓米同盟への無条件の信頼など、前任者と少しも違いがない」と批判した。
李政権は、北朝鮮に強硬な姿勢をとった 尹錫悦(ユンソンニョル) 前政権から方針を転換した。この日の談話で政権の取り組みを否定されたにもかかわらず、李大統領は引き続き、北朝鮮との対話を模索する構えだ。談話を受け、李氏は「平和な雰囲気の中で南北間の信頼を回復することが重要だ」と述べた。北朝鮮の核放棄に加え、南北の偶発的な衝突防止を目的に2018年9月に締結された「南北軍事合意」の復元などを目指す。
北朝鮮が南北対話に否定的な姿勢を崩さない中、李政権内には、米朝首脳会談に意欲を示すトランプ米大統領の取り組みを後押しし、米朝対話と並行した南北対話の実現を目指す案も浮上している。北朝鮮が核を放棄する見返りに得る経済支援を韓国が負担することで、北朝鮮問題に関与していくという構想だ。
ただ、トランプ氏の関心は現在、各国との関税を巡る協議や中国、中東情勢などに向けられており、いつ米朝協議に注力できる状況になるかは不透明だ。
また、北朝鮮は2024年6月、ロシアと事実上の軍事同盟である「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだこともあり、韓国の経済支援に魅力を感じるかは疑問だとの指摘も出ている。
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