グロージャン、事故以来5年ぶりにハースF1ドライブへ―小松礼雄が再びエンジニアを担当

2020年F1バーレーンGPでの大クラッシュから約5年。39歳のフランス人ドライバー、ロマン・グロージャンが再びF1マシンのステアリングを握る。事故後初となるF1走行は、古巣ハースからの招待によって9月26日(金)、イタリア・ムジェロで行われる特別テストだ。

グロージャンは2020年のバーレーンGPでバリアに激突。マシンは炎に包まれ、両手に重度の火傷を負った。それがF1通算179戦目にして最後の参戦となった。その後はアメリカのインディカーに活動の場を移し、4シーズンで6度の表彰台と3度のポールポジションを獲得した。

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2位トロフィーを手に笑顔のロマン・グロージャン、2021年5月15日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催されたインディカー第5戦インディGP決勝の表彰台にて

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事故によって炎上したハースVF-20から脱出するロマン・グロージャン、2020年F1バーレーンGPにて

今回の走行は、ハースが実施するTPC(旧車テスト)プログラムの一環で行われる。2023年型VF-23が用意され、グロージャンはロータス時代から縁のある小松礼雄代表のサポートを受けて走行する。

小松代表は当時と同じくレースエンジニアを務める。また、2019~2020年にグロージャンのレースエンジニアを担当し、現在はヘリテージチーフエンジニアを務めるドミニク・ヘインズも現地で統括を担う。さらに長年彼のNo.1レースメカニックだったイアン・スタニフォースもムジェロテストに参加する。そのほか、グロージャンのハース在籍98戦を共に戦った多くのオペレーションやガレージ担当のメンバーも立ち会う予定だ。

ムジェロ・サーキットでは2020年9月13日にトスカーナGPが開催され、グロージャンは12位で完走している。

「ロマンとは彼のF1キャリア全体を通じて共に仕事をしてきたので、このムジェロでのテストは私たち双方にとって特別な意味があります。彼がこの機会を快諾してくれて本当に嬉しいですし、かつてのクルーが揃って見守ることで、なお一層特別な1日になるでしょう」と小松代表は語り、長年のパートナーとの再会を喜んだ。

「ロマンのことなので、いつものように全力を尽くしてくれるはずです。私たちは長い間、この実現について語り合ってきたので、それも当然ですが」

一方グロージャンも「ジーン・ハースとアヤオに心から感謝している。ムジェロでのTPCに招待してもらい、本当に嬉しい。約5年ぶりにF1に戻れるなんて信じられない。古巣チームで再び走れるなんて本当に特別だ。みんなに再会できるのを楽しみにしているし、昔話に花を咲かせる時間もあるだろうね」とコメントした。

さらに「本来、僕にとってのラストレースになるはずだった2020年のアブダビGP用に、僕の子どもたちがデザインしてくれたヘルメットをようやく被ってF1マシンをドライブできるよ」と明かした。

ヒンチクリフも初のF1体験

今回のTPCテストには、元インディカードライバーで通算6勝とインディ500ポールポジション獲得の実績を持つジェームズ・ヒンチクリフ(38歳)も参加し、VF-23を初めてドライブする。

現在F1 TVの解説者を務めるヒンチクリフにとって、F1マシンを操るのはこれが初。この模様は10月のアメリカGP開催週にF1公式チャンネルで放送される予定だ。

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