イタイイタイ病を風化させない 住民らが立ち入り調査 満杯状態の廃棄物堆積場で質問相次ぐ
神通川流域で発生した公害病、イタイイタイ病の原因となったカドミウムを排出した岐阜県の神岡鉱業に対し、被害地域の住民らが今月17日、立ち入り調査を行いました。55回目となった今回の調査では、依然、カドミウムなどが堆積している現場を取材してきました。全体立ち入り調査は、1972年のイタイイタイ病裁判で患者らが勝訴した際に原因企業の三井金属鉱業と結んだ公害防止協定に基づいて毎年行われています。55回目となった今回は、住民のほか弁護士や科学者などおよそ70人が3つの班に分かれて調査しました。数家キャスター「こちらは和佐保堆積場です。鉱石のかすを貯めていて、その量はおよそ2700万立法メートルです。地震や集中豪雨により、下流に影響が出ないか心配の声が上がっていますが、神岡鉱業側は大丈夫だと説明しています」和佐保堆積場は、今回初めて、報道関係者に公開されました。神岡鉱業の担当者「700ガルという地震動加速度をベースにしておりまして、かなり大きな地震に対してのシミュレーションを行って、それは安定ということを確認しています」神岡鉱業の担当者から説明を受けた住民らは、次々と質問していました。住民「不要物というのは具体的にどんな成分のものが入っているんですかね」神岡鉱業の担当者「鉛ですとか、亜鉛、カドミウムももちろん入っています、水銀、ヒ素、そういった有害物質が含まれています」和佐保堆積場は、1954年に谷を埋めて作られたもので、工場から出た廃棄物が貯められています。容量は、日本最大の2738万立法メートルで、現在98%が埋まっています。水を中和するため石灰が投入されていて、沈殿物は白く濁っています。沈殿物から出た水は、堆積場の上流部分から濁りのない上澄みだけを取り込み、水路から川に流しています。他の2つの班も工場の排水設備などを調査しました。午後からは、住民の代表が神岡鉱業側の取り組みなどについて質問しました。中には、排水処理の目標値や会社側の姿勢を質す場面もありました。住民「清水としての取り扱いは変わらず1ppbを目標とするのか、それとも2ppbまでであってもよしとする姿勢で排水処理を行っていくのか、御社の姿勢をお示し願います」神岡鉱業 田邉修孝社長「カドミを1ppb、できるだけ下げていくということでどういったことをすべきかということを考えながら、部分的には下げるところは下げるし、許容して排水に負荷をかけないところはかけないといった考え方で進めていきたい」このほか、住民側の弁護士や科学者からも疑問点を確認する質問が相次ぎました。神岡鉱業 田邊修孝社長「55年ですね、長い期間をかけて我々の方もいろんな課題に取り組んで、そうしてやってきた結果が今の緊張感ある信頼関係につながっていると思っていますので、引き続き環境改善に努めてまいりたいと考えています」神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会 江添良作代表理事「今回の参加人数75名、そのうち3分の1が初めて神岡鉱業に立ち入り調査に参加するということで、現役世代のある程度若手の人たちにも関心を持って、次世代にどういうふうにつなげていくかというところに視点を置きながら、やっぱり60回、70回と続くと思っております」
イタイイタイ病を風化させないため住民らは調査を続けています。上流に鉱山がある限り、下流に暮らす住民の取り組みが終わることはありません。