ベテルギウス超新星は最短で数十年後!?最新の時期推定と根拠(宇宙ヤバイchキャベチ)
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
オリオン座の赤色超巨星ベテルギウスは、いつ超新星爆発するのでしょうか?
近年の観測と理論からは二つの見立てがあります。
本記事ではそれぞれの根拠となる観測データやモデルとの整合性を比較し、さらにベテルギウスが実際に爆発した場合に私たちが目にする光景や地球への影響についてまとめます。
観測にもとづく時期予想
ヘリウム燃焼期シナリオ
ベテルギウスの質量・半径・脈動周期といった観測値は、内部の核融合によってヘリウムの燃焼段階にあるモデルとよく一致します。
代表的な推定では半径は太陽の約760倍、質量は16〜19倍で、これらの条件だと残寿命はおよそ10万年規模と見積もられます。
近年の高分解能観測で見かけの大きさや明るさのリズムが長期的に整合的であることも、この長期見通しを後押しします。
NASA, ESA, and E. Wheatley (STScI)さらに2019〜2020年の大減光は表層の温度低下と塵の生成による現象と解釈され、直前の合図ではなかった点も、長期側の評価と矛盾しません。
NASAなどの公式解説も「しばらく爆発しない」という立場で、およそ10万年オーダーを示しています。
炭素燃焼期シナリオ
一部の研究は脈動周期の解析から、ベテルギウスが炭素燃焼の終盤にあると解釈します。
その場合は爆発まで数十〜数百年という短期予測になります。
ただし、半径推定や歴史記録に残る色の変化との整合性に課題が指摘され、観測との緊張が残ります。
大まかに言えば、モデルが仮定する星の大きさや内部の状態が、独立の観測から導かれる姿と食い違いがちで、提示値は仮説としての扱いにとどまります。
もし爆発したらどうなるのか?
Wikimedia Commons user HeNRyKus / Celestiaベテルギウスが超新星になると、視等級は–10等級前後に達し、夜空で半月並みの光度を数か月放つと見られます。
夜間に影ができるほど明るく、季節や場所を問わず世界中で肉眼確認できる可能性があります。
ピーク後はゆっくり暗くなり、数週間〜数か月の劇的な変化を連続的に追えます。
観測好機が長く続く点も、天文ファンにとっては大きな魅力です。
地球からの距離はおよそ600光年で、一般に深刻な影響が懸念される約50光年の安全閾より大きく外れています。
紫外線やX線・ガンマ線の増加が生活に及ぼす影響は限定的で、私たちは天体ショーとして観察できます。
天文観測には一時的な支障が出るものの、健康面のリスクは低い見立てです。
夜間の明るさが生態に与える軽微な影響はあり得ますが、長期的な悪影響を心配する必要は乏しいでしょう。
結論
Royal Astronomical Society/ ESO/ L. Calçada.現時点で最も妥当なのは「10万年規模」の長期シナリオです。
一方で「数十〜数百年」という短期の可能性を提示する研究もあり、今後の観測次第で評価が動く余地は残ります。
どちらに転んでも、爆発が起きれば夜空に“第二の月”が現れたかのような光景になります。
人類がその瞬間に立ち会えるかは誰にも分かりませんが、いずれ訪れるその日までベテルギウスの鼓動を見守り続けたいと思います。
YouTubeで登録者数29万人「宇宙ヤバイch」で最新ニュースなどを解説しています。/23歳で北海道大学経済学部に入学→29歳で卒業/書籍「宇宙ヤバイ スケール桁違いの天文学」好評発売中/北海道札幌市でキャベチによる生解説が聞けるバー「宇宙ヤbar」営業中/好きな天体は海王星とブラックホール!