田中希実は「メダル獲ったらどうしよう」久保凛は「何もかもうまくいきませんでした」…世界陸上“2人の中距離エース”に感じた「正反対の言葉力」(Number Web)
レースは、田中が後方からのレースを選択したことで、スローペースで進んだ。 「予選を見て、みんなは『田中が行ってくれる』と思っていたはずで、エチオピアの人たちが話し合っていたりしていました」 海外勢が田中の動向を気にしていたのは興味深い。ダイヤモンドリーグでも顔なじみだからだろう。田中が自重したことで、先頭は1000mを3分17秒、2000mを6分19秒という非常にゆったりとしたペースで通過した。 ここでパラドックス、矛盾が生まれた。田中はハイペースを望んだが、田中自身がタイムトライアルでの手応えから、後方から追い上げるレースプランを描いたため、スローペースとなってしまった。ハイペースよりは分が悪い。矛盾を抱えつつレースは進んだ。 「予選では同じ組で走った(山本)有真ちゃんが引っ張ってくれて、そのおかげで自分の走りを引き出してもらったので、今度は他の人の力を借りず、実力を決勝で発揮したいと思って、先頭を引っ張るよりも、後ろで悠々と走った方がカッコいいと思っていたんですけど……他にもスプリントがある選手がいて、自分が1000mのベストが出ていたのに、そこで迷い、怖さが出て、中途半端になってしまいました。ただし、絶対に引かないことは出来たので、等身大の実力は出せたと思います」 言葉を紡いでいる間も、感情が行ったり来たりする。 「いちばん速く上がろうと思っていましたし、疾走する瞬間を楽しもうと思っていたんですけど、最後はヘナヘナになってしまいました。ラスト1周になった時に体が重たくて、重いと思った瞬間、動かなくなってしまいました」
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