グロージャン、5年ぶりF1に復帰! ハースのTPCに参加。”旧友”小松礼雄代表がレースエンジニアを担当
ハースが9月26日(金)にイタリアのムジェロ・サーキットで行なうTPC(旧車テスト)に、ロマン・グロージャンが参加することになった。グロージャンがF1マシンをテストするのは、マシンが炎上する大事故を起こした2020年バーレーンGP以来のこととなる。
グロージャンは2016年にハースF1が創設された時から同チームに加入。その後も、ハースF1のマシンをドライブし続けた。しかし2020年のバーレーンGP決勝1周目、グロージャンがドライブするマシンは、他車との接触によりコントロールを失い、コース右側のガードレールに激突。マシンは前後真っ二つに分断し、ガードレールに突き刺さったモノコックは、炎に包まれた。
グロージャンは燃え盛る炎の中から助け出され、手足の火傷だけで済んだ。しかしその治療のために、同シーズンの残り2戦を欠場。それ以降、F1のシートに戻ることはなかった。
F1で最後のレースを走れなかったことを受け、メルセデスがグロージャンの旧車テストの機会を用意。2021年にポール・リカール・サーキットを舞台にこのテストが行なわれる予定だったが、コロナ禍による渡航制限が厳しい時期だったため、中止となった。
その後グロージャンは、インディカー・シリーズなどに舞台を移し、活躍を続けてきた。そんなグロージャンに、ようやくF1再ドライブの機会が巡ってきた。
グロージャンは9月25日(金)、イタリアのムジェロで、ハースの2023年型マシンVF-23をドライブすることになった。現在ハースのチーム代表を務め、かつてロータスとハースでグロージャンの担当レースエンジニアを担当していた小松礼雄が、当時と同じ役割を担う。
Ayao Komatsu, Chief Race Engineer, Haas F1 Team, Romain Grosjean, Haas F1 Team
写真: Andrew Hone / Motorsport Images
「ロマン・グロージャンが5年ぶりにF1マシンに戻ってくることを、心から嬉しく思います。特に彼が、我々のマシンでF1に戻ってくることを誇りに思います。まさに相応しいことですね」
そう小松代表は語った。
「ロマンと僕は、彼のF1キャリアを通じてずっと一緒に仕事をしてきました。ムジェロでのこのテストは、ふたりにとって特別な意味を持つものです」
「彼が我々と共に、再びハンドルを握る機会を受け入れてくれたことを、とても嬉しく思います。オリジナルのクルーの多くが再び集結することで、この日は特別な日になるでしょう」
「楽しい1日になると思います。ロマンのことはよく知っています。いつものように、全力を尽くしてくれると思いますよ。この機会を実現するためにずっと話し合ってきましたから、当然そうしてくれることを期待しています」
グロージャンは前述の通り、F1を離れた後はインディカー・シリーズに転向。2021年にはデイル・コイン・レーシングのマシンを走らせ、参戦初年度ながら表彰台を獲得するなどした。2022年と23年はアンドレッティのドライバーを務め、2024年はフンコス・ホリンジャー・レーシングから参戦。2025年にはプレマのリザーブドライバーを務めた。またインディカーへの参戦と並行して、IMSAやル・マン24時間レースで、ランボルギーニのハイパーカーを走らせるなどしている。
なおグロージャンは今回のムジェロでのTPCで、子供たちがデザインしたヘルメットを使う。これはグロージャンが、2020年の最終戦で使おうと計画していたものだ。
「ムジェロでのTPCに招待してくれた(チームオーナーの)ジーン・ハースと小松礼雄代表に、心から感謝している」
グロージャンはそう付け加えた。
「再びF1マシンのハンドルを握れることを楽しみにしている。とても控えめに言ってね。もう5年も経ってしまったなんて信じられない。古巣のチームにこういう形で戻れるなんて、本当に特別なことだ」
「皆に会えるのが楽しみだ。きっと、懐かしい思い出を語り合う時間もたくさんあるだろう。V-23と共に、コース外での活動についても役に立てればと思う。チームが現在進めている成長の一環として、今回のTPCが実現できたのは、素晴らしいことだ」
なおこの日には、元インディカードライバーであり、今はF1TVでアナリストを務めているジェームス・ヒンチクリフもハースのF1マシンを走らせる予定だ。ヒンチクリフにとっては、今回が初のF1ドライブの機会となる。
関連ニュース: