ランクルFJかジムニーノマドか? どこが違う? ランクルFJの価格は400万円切り!? 250&ノマドオーナーが分析!!!

 ランクルFJが2025年10月21日に世界初公開され、ジャパンモビリティショー2025に出展される。日本発売は2026年央とアナウンスされ、一喜一憂した人も多かったのではないだろうか。その1週間後、スズキはジムニーノマドの受注開始時期を2026年1月30日と発表! きっと、ランクルFJ、ジムニーノマドのどちらかを買うか迷った人もいるはず。ということで、ランクル250とジムニーノマドを所有するオーナーの視点で両車を比べてみたい!

文:青嶋勇樹/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ、スズキ

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全長4575×全幅1855×全高1960mm、ホイールベースは2580mm

 10月21日に発表されたランドクルーザーFJ。登場する前には、ランクルミニとも言われてきたが、発表されたボディサイズを見ると全長4575×全幅1855×全高1960mm、ホイールベースは2580mmともはやミニとはいえない、ミドルサイズのSUVだ。

 兄貴分のランクル250は全長4925×全幅1980×全高1925mm、ホイールベースは2850mm。ランクルFJは全長が350mm、全幅が125mm、全高が逆に35mm高く、ホイールベースは270mm短くなっている。

2025年12月17日に発売が予定されている新型RAV4のボディサイズは全長4600×全幅1855×全高1680mm、ホイールベース2690m

 ではランクルFJに近いサイズはどのクルマなのか、調べていくとランクルFJは、カローラクロスより大きく、新型RAV4コア(2025年12月17日発売予定)、ホンダZR-Vあたりがライバルとなる。

ジムニーノマドは全長3890×全幅1645×全高1725mm、ホイールベース2590mm。2026年1月30日から受注が再開されると発表

 ランクルミニと呼ばれていた頃、ランクルFJとどちらにしようかと迷っていた人がいたかもしれないが、ジムニーノマドは全長3890×全幅1645×全高1725mm、ホイールベース2590mmと、ランクルFJと比べると、全長が685mm短く、全幅が210mm狭く、全高は235mm低い。ランクルFJとジムニーノマドはまったくクラスが違うことがわかる。★ジムニーノマド:全長3890×全幅1645×全高1725mm、ホイールベース2590mm●トヨタライズ:全長3995×全幅1695×全高1620mm、ホイールベース2525mm●トヨタヤリスクロス=全長4180×全幅1765×全高1580mm、ホイールベース2560mm●ホンダヴェゼル=全長4340×全幅1790×全高1580mm、ホイールベース2610mm●トヨタカローラクロス=全長4490×全幅1825×全高1620mm、ホイールベース2640mm★トヨタランクルFJ=全長4575×全幅1855×全高1960mm、ホイールベース2580mm●トヨタ新型RAV4コア=全長4600×全幅1855×全高1680mm、ホイールベース2690m●ホンダZR-V=全長4570×全幅1840×全高1620mm、ホイールベース2655mm●スバルフォレスターS:HEV=全長4655×全幅1830×全高1730mm、ホイールベース2670mm

●新型マツダCX-5=全長4690×全幅1860×全高1695mm、ホイールベース2815mm

TNGAのGA-Fラダーフレームを採用するランクル300、250とは違うIMVフレーム構造を採用するランクルFJ

 ランクルFJはラダーフレーム構造にデフロック付きのパートタイム4WDで、末弟ながらランクルの名に恥じない本格派だから、モノコックボディの他のSUVとは一線を画す。今回、取り上げるもう1台のジムニーノマドもラダーフレーム構造である。しかも、ランクルFJもジムニーノマドもリジットアクスル式サスペンションを採用している。

 ラダーフレームじゃないと本格的なクロカン四駆とはいえない……と聞いたことがあるという人も多いはず。ではなぜラダーフレームがオフロード走行にいいと言われているのか? ラダーフレームとは、名前の通り「はしご状」のフレームをベースにボディを載せる構造だ。近年の多くの乗用車が採用するモノコックボディが「軽さとしなやかさ」を重視しているのに対し、ラダーフレームは「頑丈さ」と「耐久性」を優先している。

ジムニーノマドのラダーフレーム

 この構造の最大の利点は、路面から伝わる大きな衝撃をフレーム全体で分散できること。悪路走行時に車体へ伝わる強いねじれや衝撃を、骨格がしっかり受け止めてくれる。そのため、岩場や砂地、ぬかるみなど、ボディが歪みやすい過酷な条件でも高い耐久性を発揮するのだ。

 さらに、事故などでボディ前部を大きく損傷しても、フレームそのものが無事であれば「自走可能」であるケースが多い。これはまさに“戦うクルマ”としての信頼性の証だ。ランドクルーザーやジムニーが世界中の僻地で愛され続ける理由の一端も、まさにここにある。

 一方で、ラダーフレームの弱点も存在する。構造が重いため、燃費性能や乗り心地の面ではモノコックに劣る。衝撃吸収性の面でも現代のクラッシャブルゾーン構造を持つ乗用車にはおよばないことが多い。結果として、オンロード中心の使い方では「少し重たく、硬い乗り味」と感じる人もいるだろう。

ジムニーノマドは前後リジットアクスル式サスペンションを採用する。ジムニーの圧倒的な悪路走破性の高さに貢献しているが、その一方で最小回転半径は5.7mとサイズの割に大きくなってしまっている

 続いて、リジットアクスル式サスペンションについても、本格派のクロカン四駆ならば必須といわれている。ランクルシリーズ、ジムニーシリーズは当然のように採用。リジットアクスルとは、左右の車輪が一本の車軸でつながっている構造のこと。近年主流の「独立懸架式サスペンション」とは対照的な仕組みで、こちらもラダーフレーム同様にオフロード走行での強みが際立つ。

リジットアクスルと独立懸架式サスペンションとの違い

 まず、構造がシンプルで非常に頑丈。強い衝撃を受けても破損しにくく、部品点数が少ないため整備や修理も容易だ。長年にわたり過酷な環境を走る車両にとって、この「堅牢さ」と「整備性」は何よりも重要な要素となる。

 また、独立懸架式がアームの長さに制約を受けるのに対し、リジットアクスルは車軸全体が上下に動くため、サスペンションのストローク量が非常に大きい。結果として、デコボコの路面でもタイヤが地面をしっかり捉え、抜群の路面追従性を実現する。特に岩場や泥地でのグリップ確保には欠かせない構造だ。

 ただし、弱点もある。左右の車輪がつながっているため、片側の段差がもう一方にも影響し、乗り心地はやや硬くなる。また、高速走行時の安定性やコーナリング性能では独立懸架式に分がある。つまり、「舗装路での快適性」よりも「悪路での信頼性」を優先するドライバーに向いた構造と言えるだろう。

ランドクルーザーを名乗る以上、悪路走破性は高い

 ランドクルーザーやジムニーが、今なおラダーフレームとリジットアクスルを採用しているのは偶然ではない。この組み合わせこそ、オフロードにおける究極の構造だからだ。

 ラダーフレームが全体の骨格として衝撃を受け止め、リジットアクスルが路面の起伏をしなやかに吸収する。このタッグによって、走行不能に陥るリスクを極限まで抑え、ドライバーに「どんな道でも進める」という安心感を与えてくれる。さらに、サブトランスファーによるローレンジ切り替え機構を備える車種なら、急勾配や岩場でも確実にトルクを伝達できる。

ランクルFJは操舵性を決めるフロントに耐衝撃性に優れたダブルウィッシュボーン式、リアはリジットアクスル式サスペンションを採用

 一方で、オンロード性能を重視するユーザーにとっては、ややオーバースペックな面もある。だが「本物の四駆」を求めるなら、やはりこの構造に勝るものはない。

 しかし、めったに悪路を走行しない人のなかには、「買って失敗したかも」という人がたまにいる。ちなみにランクル250は、モノコックボディのようなしなやかな乗り心地ではないし、高速道路での轍を乗り越える際のショックも感じるからだ。不快とまではいかないが、後席に乗る家族から乗り心地が硬いといわれることもままある……。

ランクルFJはパートタイム4WDシステムを採用。H2、H4、L4の2WD、4WD切り替え機構を備え、リアデフロック機能も持つ。トランスミッションは6速AT

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