大同生命、超長期債の購入を今後数年継続-25年度2000億円と同ペース
大同生命保険は2025年度に超長期債を2000億円買い入れる計画で、今後数年は同じペースで残高を積み増す方針だ。佐藤孝明運用企画部長が21日のインタビューで明らかにした。
超長期債の買い入れは前年度(2500億円)からやや鈍化するが、社債などを含む円債全体では前年度(3100億円)並みの積み増しになる。佐藤氏は「新規の保険契約などの前提が大きく変化しなければ、今くらいのペースはおおむね継続する方向で考えている」と述べた。
19日に行われた20年利付国債入札が弱めの結果となったことをきっかけに、債券相場は超長期債を中心に軟調な地合いが続く。新発20年債利回りは21日に2.655%と1999年以来、26年ぶりの高水準を更新。財政拡張リスクも意識される中、新発30年債利回りは一時3.19%と7月に付けた過去最高の3.2%に迫っている。
佐藤氏は、4-6月期に超長期債を500億円程度買い入れており、今後も「年度を通じて平準的に買っていく」と話した。30年債利回りについては3%台前半がめどとみて、おおむね3%近辺での推移が続くと予想した。
規制対応の買いが一巡して積極的な国債購入を控える大手生命保険会社が多い中、中堅生保は着実に国債投資を進めている。朝日生命保険は国内金利の上昇を受けて、25年度当初に計画していた外債投資を円債に振り向けている。富国生命保険は今年度の円債の残高積み増し額を数千億円規模に引き上げる。
佐藤氏は外債について「為替ヘッジを付けると米債でも円債の方が魅力的だ」と指摘。ヘッジを付けないオープン外債も「それなりに」為替リスクがあり、今の金利水準であれば円金利の方に妙味があるとの見方を示した。内外株や外債を削減する方針に変わりはないとした。
買い余力
金利の上昇により、大同生命が保有する円債の含み損は6月末に7866億円と3月末(6824億円)から増加した。保有債券の時価が取得価格の50%を下回って回復の見込みがない場合、評価差額を有価証券評価損として計上する減損処理が会計基準で定められている。
佐藤氏は、仮に50%以上の含み損が発生する場合も、年限の長い国債は全て償還まで持ち切ることが前提の「責任準備金対応債券」に区分しており、「償還まで持ち切る目的と意思と能力を証明することで減損対象とはしていない」と述べた。債券を買う上で「何か制約になっていることもない」と言う。
同社の保険商品は、中小企業オーナーなどを対象とした100歳満期など保障性保険が中心だ。金利上昇時に解約が増えやすい貯蓄性保険より顧客の定着が長く、負債側のデュレーション(平均残存期間)は6月末時点で22年と資産側の13.5年を大きく上回る。
佐藤氏は「新規の保険契約も比較的順調でもあり、買い余力はまだある」と指摘。「あまり市場環境に影響されずに一定程度の買いを続ける」と語った。