世界経済「重要な分岐点に」-IMF総会声明、貿易戦争に懸念表明へ

Jorge Valero

  • ブルームバーグが草案入手-「金融安定へのリスク高める」と指摘
  • 米が関与薄める懸念も-加盟国の「コミットメント」再確認と明記

国際通貨基金(IMF)は、ワシントンで開催中の春季総会締めくくりの声明で、世界経済が現在「重要な分岐点」にあると指摘する。ブルームバーグが声明の草案を入手した。米国のトランプ大統領による貿易戦争が、総会での議論にも色濃く影を落とした。

  声明は、IMFの最高助言機関である国際通貨金融委員会(IMFC)の議長によるもので、「貿易戦争や対立を終わらせるため、進行中の取り組みを歓迎する」としている。今年の総会は、サウジアラビア財務相が今回の会合の議長を務めた。

  草案によると、声明は「世界経済は重要な岐路に立っている」とし、「数年間に渡り懸念が高まっていた貿易問題が、このところ急速に激化し、不確実性や市場の変動性、経済成長と金融安定へのリスクを高めている」としている。

  議長声明は25日に発表される予定だが、米国を名指しで批判する表現は含まれていない。ただ、IMF最大の出資国である米国が、通商で対決的な対応を取る姿勢に転換したことは、声明にも反映されている。

  草案には、加盟国が「IMFに対するコミットメント」を再確認し、「今後も、より機動的かつ集中的な基金のあり方について、議論していく」とも記されている。米国の国際金融機関への関与に対する懸念もあった中、ベッセント米財務長官は今週、IMFや世界銀行への「条件付き支持」を表明しつつ、軌道修正を求めた。

  IMF総会の議長声明は、全会一致を必要とする従来の「コミュニケ」とは異なり、より妥協的な合意文書として位置づけられる。2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、コミュニケは発表されていない。

原題:IMF Members See World at ‘Pivotal Juncture’ Amid Trade Wars(抜粋)

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