NY市場サマリー(4日)米株主要3指数が1%超高、ドル上昇、利回り低下
<為替> ニューヨーク外為市場ではドルがユーロ、円、スイスフランなどの主要通貨のほか、豪ドルなどの資源国通貨に対しても上昇した。ドルは先週1日の下落から地合いを取り戻したものの、米政権の政策の先行き不透明性に加え、米経済にほころびが見え始めていることを踏まえると、回復は長続きしない可能性があるとの見方も出ている。
先週1日は、7月の米雇用統計が予想を下回ったことに加え、トランプ米大統領が雇用統計が予想を下回る結果になったことを受け労働省労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長の解任を命じたこのほか、米連邦準備理事会(FRB)がクグラー理事が任期満了を待たずに8日付で退任すると発表したことが重石になり、ドルは下落。
マネックスUSA(ワシントン)のトレーディング部門ディレクター、フアン・ペレス氏は「米国の産業は全体的に減速しているようだ」とし、「経済指標を踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを実施し景気を支援すると示唆されているものの、楽観論が必ずしも広まっているとはいえない」と述べた。
ただこの日の取引ではドルは上昇。終盤の取引でドル/円は0.3%高の146.945円。ユーロ/ドルは0.1%安の1.1576ドル。
主要通貨に対するドル指数は0.1%高の98.77。1日の取引では1.3%を超えて下落していた。
NY外為市場:
<債券> 米金融・債券市場では、不安定な展開の中、国債利回りが小幅に低下した。前週末の雇用統計の弱さを受けて10年債利回りが1カ月ぶりの水準に急低下した余波が続いている。
ブリン・マー・トラストの債券部門ディレクター、ジム・バーンズ氏は「債券市場では大きな動きがあり、今日は利回りが上下に揺れている。前週の動きを受けてある程度の反動があると考えられるが、投資家が消化すべき情報は多い」と述べた。
市場は雇用統計発表前から慎重な姿勢を取っていた。トランプ米大統領が複数の貿易相手国に対して新たな関税を発表したほか、労働省労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長を解任。さらに、米連邦準備理事会(FRB)のクグラー理事が早期辞任を表明し、トランプ大統領が利下げに前向きな後任を指名する可能性が出てきたことなどが背景にある。
10年債利回りは1.8ベーシスポイント(bp)低下し4.202%。一時は4.196%と、7月1日以来の低水準を記録した。
CMEのフェドウオッチによると、FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で少なくとも0.25%の利下げを行う確率は87.8%に上昇。1週間前の63.1%、雇用統計発表前の50%未満から大きく上昇した。
米金融・債券市場:
<株式> 米国株式市場では、主要株価3指数が1%以上上昇して取引を終えた。いずれも5月27日以来の大幅な上昇率。前週末の売りの後で割安銘柄に買いが入ったほか、予想を下回った雇用統計を受けて9月の利下げ観測が高まったことが背景にある。
米労働省が1日発表した7月の雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想以上に鈍化したほか、過去2カ月分の雇用者数も大幅に下方修正された。これを受けて前週末の米株市場は急落していた。
ホライゾン・インベストメンツのリサーチ&クオンツ戦略責任者、マイク・ディクソン氏は「きょうは少し押し目買いが見られた。買いの機会を探す動きがあるという、かなり健全な兆候だ」と指摘。
「労働市場が予想よりも明らかに弱いという点に関してはやや懸念がある。それを幾分相殺しているのが利下げ観測の再燃だ。9月に利下げが行われる可能性は高い」と話した。
米国株式市場:
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が強まる中で買われ、続伸した。
前週末に発表された7月の米雇用統計では景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数の伸びが予想を下回り、過去2カ月分の就業者数も大幅に下方修正された。米雇用の急速な鈍化を受け、FRBが次回会合で利下げに踏み切るとの観測が台頭。週明けも米長期金利の低下傾向が続く中、金利を産まない資産である金の投資妙味が高まり、金が買わ れた。
シティーグループは4日付のリポートで、今後3カ月の金価格の見通しを3300ドルから3500ドル、レンジ見通しを3100─3500ドルから、3300─3600ド ルに上方修正した。シティは「米経済成長と米関税政策を受けたインフレを巡る懸念は、 2025年後半も高まったままだ。これらの要因に加えてドル安も重なり、金相場は緩やかに上昇し、最高値を更新する可能性が高い」とした。
NY貴金属:
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、有力産油国による増産方針決定や低調な米雇用統計を背景に、続落した。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟の産油国で構成する「OPECプラ ス」の有志8カ国は3日、9月の生産方針について、日量54万7000バレルの増産を決定した。増産は6カ月連続。今回の増産決定により、8カ国が実施してきた日量250万バレルの自主減産は解消され、生産拡大に転じる。9月7日に行われる次回の会合で追加の165万バレルの減産解消に向け議論が行われる可能性があることも、原油価格の下押し圧力となった。
米労働省が前週末発表した7月の雇用統計は、非農業部門就業者数の増加幅が市場予想を下回ったほか、5月と6月の就業者数の伸びが大幅に下方修正され、労働市場の急激な悪化が鮮明となった。この結果を受け、景気減速とエネルギー需要の鈍化懸念が強まり、 相場を下押した。
NYMEXエネルギー:
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