トヨタなど車各社の株価が下落、米国のカナダ・メキシコへの関税で
- トヨタ株は4カ月ぶり下落率、7600億円の利益影響とシティG試算
- 米大統領がカナダ・メキシコへの追加関税に署名、両国は報復措置へ
トランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名したことを受け、両国に工場を保有する日系自動車メーカーなどの株価が下落した。
トヨタ自動車の株価は3日の取引で、一時前週末比5.5%安の2809円と2024年9月30日以来の日中下落率を付けた。日産自動車は同10%安、マツダは同9.2%、ホンダは7.3%安となった。
シティグループ証券の吉田有史アナリストは英文リポートで、自動車メーカーが関税を負担した場合、トヨタの利益には7600億円のマイナス影響が出ると試算した。25年度の市場予想営業利益の15%に当たるという。
利益へのマイナス影響 25年度市場予想営業利益に対する割合 トヨタ自動車 7600億円 15% ホンダ 5000億円 34% 日産自動車 2100億円 89% マツダ 1100億円 57% 出典:シティグループ証券吉田アナリストは、自動車部品メーカーを支援する場合は、さらに大きな影響となるとの見方を示した。また、米国から年間約70万台を輸入するカナダ、15万台を輸入するメキシコによる報復関税のリスクもあると述べた。
実際、カナダとメキシコは既に報復措置を取る方針を明らかにしている。カナダのトルドー首相は米国製品に25%の関税を課す表明をした一方、メキシコも対抗措置を3日に発表するとしている。
選挙前から中国、カナダ、メキシコなどからの輸入に対し追加関税を課す考えを示してきたトランプ氏が1月に大統領に就任して以降、金融市場では貿易戦争リスクが警戒されてきた。今回の追加関税では日本は対象とならなかったものの、自動車輸出などにより対米貿易黒字を抱える日本が今後標的となる恐れもある。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は2日、米国の関税措置により対象地域で展開する日本企業の事業運営にも影響が予想されるとし、経済産業省と共同で日本企業向けの相談窓口を北米、メキシコ、中国の事務所などに設置すると発表した。
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