トランプ氏、半導体への100%関税賦課を表明-米に生産移転なら除外
トランプ米大統領は6日、半導体を含む輸入品に対して100%の関税を課す方針を表明した。ただ、生産拠点を米国内に移す企業は対象から除外するとしている。
アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)と共にホワイトハウスの大統領執務室で、同社による1000億ドル(約14兆7500億円)規模の追加投資計画を発表した際に発言した。
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トランプ氏は「半導体チップや半導体に非常に高い関税を課すことになるが、アップルのような企業にとって朗報なのは、米国内で生産しているか、疑いなく国内生産を約束している企業については、一切の課税を行わないという点だ」と記者団に語った。
「つまり半導体チップや半導体には約100%の関税を課すことになる。ただ、米国内で生産しているのであれば、課税はされない」と繰り返した上で、「たとえまだ生産を開始していなくても、大規模な雇用や施設の建設といった意味で建設中であれば、課税はしない」と説明した。
トランプ氏は5日、CNBCとのインタビューで、半導体と医薬品に対する関税を「向こう1週間程度以内に」発表すると述べていた。
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今回の発表は、アップルおよびクックCEOにとって大きな勝利となる。アップルはこれまで、トランプ政権がエスカレートさせている関税措置の脅威にさらされており、看板製品であるiPhone(アイフォーン)やパソコン(PC)の生産コストが押し上げられる恐れがあった。
トランプ氏が関税措置をさらに強化し、アップルの国際的なサプライチェーン全体にコスト上昇をもたらすことが懸念されていた。
アップルによる1000億ドル規模の米国内投資には、自社製品の生産を米国に一段と移すための新たな製造プログラムを含む。同社の米国製造プログラムには、ガラスメーカーのコーニングや、半導体製造装置メーカー最大手アプライド・マテリアルズ、半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)などがパートナー企業として参加すると、アップルは発表した。
アップルはこれまで、今後4年間で米国内に5000億ドルを投資すると表明。これは従来の投資や発表済みの計画に比べやや加速した内容となっている。この新たな計画では、年間約390億ドルの追加投資と1000人の雇用創出が見込まれている。今回の発表により、アップルの累計投資額のコミットメントは6000億ドルに達することになる。
トランプ氏が言及した関税の詳細や、企業が免除対象となるにはどのような条件を満たす必要があるかは、まだ明らかにされていない。しかしトランプ氏は、高関税賦課を回避する模範例としてアップルを挙げた。
クックCEOはトランプ氏に対し、iPhoneの最終組み立ては「しばらくの間は他国で行われる」と述べつつも、複数の部品が既に米国内で製造されていることを強調した。
トランプ氏はこの説明に満足した様子を見せ、クックCEOの計画を称賛。「彼はこんな規模の投資を世界のどこにもしていない、比較にならないほどだ」と語り、「彼は戻ってきている。アップルが米国に戻ってきている」とコメントした。
一方、トランプ氏はアップルの主要な生産拠点の一つであるインドに計50%の関税を課す方針だ。米国で販売されているiPhoneの大半はインドから輸入されており、Apple Watch、iPad、MacBookなどその他の製品の多くはベトナムで製造されている。米国はベトナムに20%の関税を課す。
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原題:Trump Eyes 100% Chips Tariff, But 0% for US Investors Like Apple(抜粋)