中国GDP、伸び1年ぶりの低さ:識者はこうみる
[20日 ロイター] - 中国国家統計局が20日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.8%増加した。ロイター予測と一致したが、前四半期から増加幅は縮小し、1年ぶりの低い伸びとなった。
市場関係者に見方を聞いた。
◎今年の成長目標達成へ=TD証券
<TD証券(シンガポール)の為替・マクロ担当ストラテジスト、アレックス・ルー氏>
中国政府は、2025年の成長目標である「5%前後」を達成する可能性が高い。
年初からの目覚ましい成長実績は、この局面で追加の財政刺激策の必要性がほとんどないことを示唆している。政府は対米貿易交渉でハイテク分野の規制を撤回するよう強硬姿勢を取るだろう。
共産党中央委員会第4回全体会議(4中全会)が開催されているため、ドル/人民元は狭いレンジで推移すると予想している。中国人民銀行(中央銀行)は、こうした大きな政治イベントの期間中、ボラティリティーを最小限に抑えるよう動く。
◎固定資産投資が異例のマイナス、成長に下振れリスク=ピンポイント
<ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、張智威氏>
中国のGDP成長率は第3・四半期にさらに減速した。
固定資産投資の伸びが年初来でマイナスに転じたことは、異例であり、警戒すべきだ。
財政省は17日に5000億元の刺激策を発表した。これは第4・四半期の投資に対する下押し圧力の緩和に役立つはずだ。
だが、第4・四半期のGDP成長率に対するリスクは、下振れ方向である可能性が高い。
◎米国の圧力に耐えうる底堅さ=ユーラシア・グループ
<ユーラシア・グループの中国ディレクター、ダン・ワン氏>
市場は、刺激策が打たれても、5%を下回り目標を達成できないだろうと考えていた。しかし第1・四半期から第3・四半期までの数字から判断すると、目標を達成しそうだ。これは、これほどの関税の脅威や輸出規制という圧力を米国から受けても、中国が耐えられることを示唆する。中国当局は、自らの発展目標を達成する能力があり、政策に強くコミットしているというシグナルを送っている。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab