雇用統計が追加利下げ期待裏付けるか、政府閉鎖も焦点=今週の米株式市場

[ニューヨーク 26日 ロイター] - 今週の米株式市場は10月3日に発表される9月雇用統計が最大の注目だ。株価の支えになるためには、非農業部門雇用者数の伸びが、景気後退懸念が高まるのを避けつつ、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げを後押ししてくれるような微妙なバランスを保てる範囲に落ち着くことが求められる。

米国株は先週全体でやや下落したとはいえ、主要指数はなお最高値近辺で推移しており、第3・四半期のS&P総合500種(.SPX), opens new tab上昇率は2020年以来の大きさを記録する態勢にある。

足元までの株高を踏まえ、一部の投資家が指摘するのは期待外れの材料にさらされた際の脆弱性だ。

こうした中でジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ルシーニ氏は、雇用統計で労働市場が「単にソフトパッチ(一時的な停滞)を経験している」のかどうかを判断する手掛かりになるだろうとみている。

ルシーニ氏は非農業部門雇用者数について「誰も大幅な伸びは想定していない。同時にマイナスになれば、労働市場がかなり急速に悪化しているのではないかとの疑念が確かなものになり、われわれが景気後退の可能性という苦境に置かれている恐れがあるという問題が明らかに提起される」と述べた。

ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、9月の非農業部門雇用者数は前月比3万9000人増と、8月の2万2000人増をわずかに上回る見込み。失業率は4.3%と予想されている。

一方FRBは10月と恐らく12月に25ベーシスポイント(bp)の利下げを決めるというのが今の市場の観測だ。

そうした年内の2回と、来年中の複数回の利下げが実現すれば、米国株の上昇をもたらしてきた緩和期待という土台部分は強化されるだろう。

しかし物価が依然として高止まりしており、雇用統計が強い内容となった場合は、FRBの利下げペースが鈍化しかねないとの警戒感もある。

実際FRBのパウエル議長も直近の発言で、目先の物価リスクは「上振れ方向」で、金融政策運営は「困難な状況」に直面しているとくぎを刺している。

エンパワーのチーフ投資ストラテジスト、マータ・ノートン氏は、雇用統計次第では年内の利下げ回数が1回かゼロになる展開も市場参加者は想定していると説明した。

今週は、米議会で与野党が政府機関閉鎖を避けるためのつなぎ予算成立に向けて合意できるかどうかも重要になる。過去の政府機関閉鎖局面を投資家はそれほど問題視してこなかったが、今回は動揺が大きくなってもおかしくない。

その理由の1つは米国株の割高化にある。LSEGデータストリームによると、S&P総合500種構成銘柄の12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)は足元で22.8倍と過去5年で最も高く、10年平均の18.7倍を大幅に上回っている。

ノートン氏は「バリュエーションは極端な水準にある。つまり、いかなる種類のリスク顕現化にも耐性が低いことを意味する」と警告した。

また政府機関が閉鎖されれば、雇用統計が予定通り発表されない可能性もある。

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