ライオン放飼場に侵入した19歳男性、かみ殺される ブラジル

雌ライオン(2025年3月25日撮影、資料写真)。(c)Ben STANSALL/AFP

【AFP=時事】ブラジル北東部ジョアンペソアの動物園で、19歳の男性が高さ6メートルの壁と安全柵を乗り越え、木を伝って降りてライオンの放飼場に侵入し、雌ライオンにかみ殺された。当局が明らかにした。

知人らによると、ジェルソン・デ・メロ・マチャドさんは、深刻な精神疾患を患っており、ライオンの調教師になることを夢見ていた。

当局によると、マチャドさんは10月30日朝、アルーダ・カマラ動植物園の雌ライオンの放飼場に「故意に侵入した」と述べた。

侵入を捉えた動画によると、マチャドさんが木から降りてくると来園者から驚きの声が上がった。

横たわっていた雌ライオンのレオナは木に向かって一直線に突進し、マチャドさんを地面に引きずり下ろした。茂みが揺れ、マチャドさんが一度立ち上がったが、その後視界から消えた。

「やられた! やられた!」「なんてことだ!」などと来園者が叫んでいるのが聞こえた。

ジョアンペソア法医学研究所のフラビオ・ファブレス所長はAFPに対し、マチャドさんの身元は指紋で確認されたと語った。

死因は「首の血管損傷による失血」だった。

市と動植物園によると、州環境当局が1日に同園の立ち入り検査を実施し、今も閉鎖中だ。

同園の獣医師、チアゴ・ネリー氏は、放飼場は安全基準を順守しているとして、今回の事故は「全く予測不可能だった」と述べた。

同園は、雌ライオンのレオナについて「安楽死は検討されなかった」と述べ、「事故以外で攻撃的な行動を一切示していない」と付け加えた。

■起きるべくして起きた悲劇

州政府の声明によると、マチャドさんの行動は「自殺未遂に当たる可能性」があるという。

児童心理カウンセラーのベロニカ・オリベイラ氏はインスタグラムに投稿した動画で、マチャドさんが「この街のあらゆる施設でケアを受けてきた」8年間、彼に付き添ってきたと述べた。

オリベイラ氏によると、マチャドさんの母親と祖父母は統合失調症を患っており、マチャドさんは国から必要なケアを受けることができなかったという。

オリベイラ氏は他のメディアのインタビューで、マチャドさんはライオンの調教師になることを夢見ており、空港のフェンスを破って、アフリカ行きだと思い込んで飛行機の着陸装置の中に忍び込んだこともあったと語っている。

マチャドさんの従姉妹、イカラ・メネゼスさんは1日、今回の事故の1週間前に「マチャドさんはお金を貯めなければならない、アフリカに行きたいと言っていた」と証言。

「彼は人生の半分を刑務所で過ごしたようなものだ」「決して悪い子ではなかった。サポートを必要としていただけなのに、一度もサポートを受けられなかった」と付け加えた。

ジョアンペソア矯正当局の責任者、エドミルソン・アウベス氏はインスタグラムに投稿した動画で、マチャドさんは少年院と刑務所に16回収容されており、「助けを必要としていた」が、「家族の誰にも受け入れてもらえなかった」と述べた。

動画に登場した刑務所の懲戒責任者、イビソン・リラ・デ・パイバ氏は、マチャドさんの知能は5歳児並みで、今回の事故は「起きるべくして起きた悲劇」だと述べた。 【翻訳編集】AFPBB News

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