米20年債利回り、一時30年債を下回る-逆イールド2021年以来の大きさ
- 過去数カ月にわたる利回り曲線スティープ化の一環、長期債敬遠で
- 米財務省が30年債の発行額を縮小するのではないかとの観測も浮上
米国債市場で2日午前に一時、20年債の利回りが30年債を下回り、米国債利回りカーブ上で最も高い水準ではなくなった。
20年債利回りは一時的に、30年債利回りを1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)弱下回り、その差はほぼ4年ぶりの大きさとなった。ニューヨーク時間正午までには、20年債は約5bp上昇の4.99%と、30年債利回りとほぼ同水準に戻った。
朝方の動きは、過去数カ月にわたる利回り曲線スティープ化の一環だ。投資家が短期債よりも長期債の保有に対してより高いリターンを要求する傾向を強めており、結果として20年債が30年債よりも魅力的とみなされる場面が生じている。
長期債への圧力が強まっている背景には、大型減税措置を巡る議会の交渉が続く中、トランプ米大統領の政策が既に歴史的水準にある財政赤字をさらに拡大させるとの懸念がある。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は今回の動きについて、「タームプレミアムの上昇や外国人投資家の撤退観測を背景に、長期ゾーンがアンダーパフォームしていることの表れだろう」と指摘した。
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20年債は米国債の中で最も人気がないとみられ、約5年前の発行再開以来、他の米国債を一貫してアンダーパフォームしてきた。米政府は約30年前に発行を中止していた。こうした圧力を和らげるため、財務省は四半期ごとの20年債の発行額を、2021年の750億ドル(約10兆7000億円)から現在は420億ドルまで削減。これは同年債の需給バランスの調整に寄与した。
20年債と30年債の利回りカーブにおける今回の動きは、長期債が敬遠されている状況を改めて浮き彫りにした。一部の投資家の間では、財務省が30年債の入札規模も縮小するのではないかとの観測すら浮上している。
原題:US 20-Year Yields Fall Below Longer Bonds by Most Since 2021(抜粋)