トランプ政権、対中関税率30%に据え置きへ-アナリストら半年先予想

米国と中国は90日間の関税率相互引き下げで先に合意した。ブルームバーグが実施した最新調査では、米関税率はこの期間が終了後も、中国の対米輸出を大幅に抑制すると見込まれる水準にとどまる公算が大きいとの見通しが示された。

  アジアや欧州、米国の資産運用会社や銀行、調査会社のアナリストや投資家ら計22人を対象とした14、15両日の調査によれば、中国産品に対する米関税率は2025年終盤まで現行の30%に据え置かれると予想(中央値)されている。

  12日の合意発表前の145%を大幅に下回るものの、中国の中期的な対米輸出を優に70%減らす高水準だとブルームバーグ・エコノミクス(BE)は推計。米中貿易交渉が早期の米関税政策見直しにつながる期待は低く、中国の経済的痛手が続く可能性を示唆するものだ。

  DNBバンクのエコノミスト、ケリー・チェン氏は来年11月の米中間選挙が合意期限となる可能性を指摘した上で、「米中の相対的な立場が本質的に変化するには、十分な時間が残されていない」との見方を示した。

  半年後には関税率が30%を下回ると予想する回答者が7人いた一方で、一段と高い関税率を見込む回答者も6人いるなど、将来に向けた見通しは一層分かれており、両国が対立を解消できるかどうかに対する不確実性が浮き彫りとなった。

  なお、米中が最終的な貿易合意に達した場合、関税率は20%まで引き下げられる可能性があるとの予想が中央値で示された。

  回答者の大多数は、トランプ政権1期目に導入された関税が維持されると予測している。これを引き下げることは大きな譲歩と受け取られ、政権支持層の怒りを招く可能性があるためだ。BEの推計によれば、これらの関税率は平均約12%となっている。

  幾人かの回答者は、トランプ大統領の関税政策の予測不可能性を理由に、予想すること自体に慎重な姿勢を示した。EFGアセット・マネジメントのエコノミスト、サム・ヨキム氏は「トランプ政権1期目を教訓とすれば、状況はまだ完全に好転したわけではなく、合意が必ずしも維持されるとは限らない」とし、「米通商政策の高度の不確実性に伴うリスクは引き続き高い」と指摘した。

  Median forecast Highest  Lowest Onshore yuan 7.2 per dollar 7.7 6.9 10-year government bond yield 1.7% 2.1% 1.3% CSI 300 Index 4000 4500 3400

  トランプ氏の対中関税政策は、今年の世界経済と市場に影響を与える最大級の変数の一つだ。関税や景気刺激策を巡る不確実性が影を落とし、中国資産は年末まで現在の水準付近で狭いレンジ内の取引が続く公算が大きいと回答者はコメントした。

  調査結果によれば、人民元は25年末までに1ドル=7.2元前後で推移するとの予測が回答者17人の中央値で示された。中国当局主導の元安誘導に関する臆測が和らぐ状況にあって、当局は急激な資本流出や過度な流入を防ぐとみられており、人民元は安定した水準で推移する可能性がある。

  アバディーン・インベストメンツの新興市場担当シニアエコノミスト、ロバート・ギルフーリー氏は対中関税率が50%前後で落ち着くと予想する。

  「関税に関する好材料があれば、中国の政策緩和の動きは抑制される可能性が高く、それは市場の上昇余地を限定的なものにすることを示唆している」とギルフーリー氏は分析。「ダメージの実態が明らかになり経済が減速する中で、最終的には当局が為替の下落を容認すると予想している」と論じた。

  中国本土株はじわじわと上昇する可能性があり、CSI300指数は4000に達すると見込まれている。これは15日終値付近である3900から約2%の上昇となる。関税を回避するための早期輸出出荷が企業収益を押し上げる可能性があり、技術革新や経済構造の変化も株価の支援材料になるとみられている。

  中国の10年国債利回りはさらなる低下にハードルがあるとみられており、今年の中央値予測は1.7%となっている。これは現行水準からほとんど変化がない。差し迫った政策緩和の期待が後退する中、市場は利回り急低下を促す材料が限られていると捉えている。

原題:Trump to Keep 30% China Tariffs Till Late 2025, Analysts Say (1)(抜粋)

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