「『車の改造は普通のこと』という環境で育ってきました」…令和に“シャコタン高級車”のチームを結成した男性が明かす“活動”に対するヤバすぎる熱意(文春オンライン)

「若者の車離れ」が叫ばれて久しいこの時代に、関東を中心に存在感を発揮している青年たちの「改造車チーム」があるという。「匿名集団」と名乗る彼らのSNSアカウントを覗くと、車高を落とした黒塗りの高級セダンの写真が並ぶ。 【画像】カスタム額は500万円超…A氏の「LS」の写真がコチラ  はたして彼らは、昭和暴走族の「リバイバル」のような存在なのか。謎に満ちたその正体に迫るべく、我々は彼らの代表者とのコンタクトを試みた。話を聞くなかで、浮かび上がってきた彼らの意外な実像とは――。

――まず率直に、「匿名集団」の活動について教えてください。改造車のチームというと、やはり「深夜の集会」といったイメージがありますが。 匿名集団A氏(以下、A氏) いや、我々はそういったチームではなくて……。そもそも今は、チームのメンバーだけで集まることがほとんどないんです。 ――え、チームで集まらない? では一体何を? A氏 主な活動としては、イベント参加ですね。ドレスアップカーのイベントで、メンバーの車を並べて。その様子をSNSで発信していくところまでがセットです。 ――イベントというのは、改造車の集会のような? A氏 いや、どちらかというと展示会ですね。規模はまちまちですが、主催の方が会場を貸し切って、そこに個人やショップが自分たちの車を並べるんですよ。それを来場者に見てもらったり、投票で入賞者を決めたり、といった具合ですね。 ――ということは、そこで入賞を目指している? A氏 いえ、それが目的でもないんです。もちろん入賞者が出れば嬉しいですけどね。あくまで趣旨は「その場でしかできない経験を共有して、その体験を発信していく」というところになります。

――かなりマイルドというか……。正直なところ、夜な夜な集団で街を徘徊しているようなイメージでした。 A氏 そうですよね。実は我々の活動自体、そういう改造車の悪いイメージを払拭したくてやっている面も大きいんですよ。 ――イメージの払拭、ですか。 A氏 ええ、ニュースで報道されるのもネガティブな側面がほとんどで、現実でも「うるさいだけ」とか「こんな車で迎えに来られたら最悪」とか。  私自身はずっと「車の改造は普通のこと」という環境で育ってきました。ですが、大人になるにつれて、どうも世間的にこういう趣味はイメージが悪いらしい、と。


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――たしかに、改造車を見下す風潮はあるかもしれません。「車高の低さは知能の低さ」というネットスラングもありますし。 A氏 そうなんですよ。車を弄っているというだけで、一様にその人の人格まで切り捨ててもいいような空気を感じたんです。 ――現実はそうではない、と。 A氏 もちろん改造車の暴走行為や検挙についての報道も事実ではありますが、それはあくまで表層に見えている一部分なんですよね。  実際にイベントやミーティングの場に行ってみると、皆さん非常に気さくで、それぞれ自分なりの考えをもって、普通に交流を楽しんでいる。  そういった出会いの可能性を最初から切り捨ててしまうのは、もったいないように思えたんです。 ――もったいない、というと? A氏 もうずいぶん前から「若者の車離れ」が叫ばれていますが、まだまだ車のカスタムに興味をもってくれる可能性のある人たちもいるはずなんです。そうして入り口に立とうとしている人たちが、「この界隈は怖そうだし」と、実際の雰囲気を知らないまま終わってしまうのは残念だなと。 ――それで、SNSを活用しているわけですね。車弄りの楽しい側面を伝えようと。 A氏 ええ、とくにTikTokですね。ショートムービーであれば、人の表情や現場の雰囲気をありのまま伝えられるので。「あ、この人こんな表情するんだ」とか、そういうふとした瞬間の積み重ねからイメージも変わっていくのではないかな、と。

――お話を聞いていると、車弄りの楽しみ方もかつてとは変わってきている印象を受けます。メンバーの方はやはり若い方が多いのでしょうか。 A氏 私が33歳で、メンバーのなかでは最年長になります。一番下が26歳ですね。 ――ちょうど、「若者の車離れ」といわれてきた世代かと思います。同年代のチームは珍しいのでは? A氏 そうですね、お金のかかる趣味ですし、イベント会場で目立つ車のオーナーさんはもう少し年配の方が多いように思います。人数で見ても、30代以下は少数派かなと。  ただSNSを見ていると、我々よりも若い人たちのチームも普通にあるんですよね。イベントでも、同世代や下の世代のオーナーと交流する機会はありますし。 ――20代や30代では、趣味におけるSNSの比重も大きくなっていそうですね。 A氏 ええ、実は匿名集団のメンバーも、SNSをきっかけにつながっていったんですよ。 ――おぉ、そこも現代的ですね。地元の友人、とかではないと。 A氏 私自身、数年前に関西から関東に引っ越してきて、ほとんどゼロから関係を作らなければならなくて。SNSを通じて開催されるミーティングなんかをきっかけに、気のあう人たちで集まっていった感じですね。

文春オンライン
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