まるでCG…。世界初、カメラが捉えた断層がズレる恐怖の瞬間

© screenshot from video posted on Facebook by Htin Aung; arrows added by Gizmodo.

ちょうどこの上に建物があったらどうなるんだろう?

こちらの監視カメラ、敷地内の門とそこから続くコンクリートの車道に向いています。約8秒後、金属製の門が振動し始め、周りも揺れ始めます。地震です。門が開き、遠くの送電塔がしなっています。そしてそのあと、画面の右側の地面がググッと前方にスライドします。

ミャンマー大地震の際の映像

この映像は今年3月28日、ミャンマーで発生した3,600人以上の犠牲者と数千人の負傷者を出したマグニチュード7.7の地震発生時のものです。震源地はマンダレー市近くでしたが、タイの首都バンコクでも強い揺れを感じられた大きな地震でした。この映像は地表断層を捉えていて、これは恐らく世界初の映像記録だと言われています。

Video: YouTube/ 2025 Sagaing Earthquake Archive

この映像は、シンガポールのエンジニアであるHtin Aung氏がFacebookに投稿したもの。その後、「2025 Sagaing Earthquake Archive」というチャンネルがYouTubeで再公開しています。

「これは断層線の動きがカメラに捉えられた初めての(そして現在唯一の)事例です」とYouTubeの投稿に説明されています。Aung氏によると、この映像はGPエナジー・ミャンマーのタピャワ太陽光発電所で撮影されたものだとのこと。

ミャンマーはちょうどプレートの境目

地球の表面は、多くの動く地殻のプレートで構成されています。プレートは爪が伸びる速さ程度で非常にゆっくりと動き、互いに押し合ったり擦れたりする際に、エネルギーが蓄積され、突然解放されることで壊滅的な地震を引き起こすことがあります。なので、プレートが接する場所または断層線と呼ばれる場所は、地震が発生しやすい地域となっています。ミャンマーはスンダプレートとビルマプレートの境界にあるサガイン断層上に位置しています。

横ずれ断層とは?

サガイン断層は横ずれ断層で、これは2つのプレートが正面から衝突するのではなく、両側のプレートが水平方向に動くことを意味します。この動きは今回の映像でも確認できます。右側の地面が突然左側の地面を通り過ぎて横にスライドしているのが見えますね。

コロラド州立大学の地球物理学者Rick Aster氏はLive Scienceに以下のように話しています。

私の知る限り、これは非常に大きな地震の貫通表面断層の一番いい映像です。間違いなく地震学者たちはこの映像を詳しく調査するでしょう。また、おそらくいずれ何らかの学術論文につながるでしょう。

世界で最も悪名高い断層は、カリフォルニアのサンアンドレアス断層と言われていて、こちらもまた横ずれ断層なのです。数十年にわたり、科学者たちはサンアンドレアス断層が「ビッグワン」というニックネームが付けられるほど強力な地震を引き起こす可能性が高いと警告してきました。

しかし、地震というのは精密に予測する方法が見つけられていないのが現状。そのため、日本を含む断層線沿いに住む人たちができる最善の準備は、地震が来たときに備えることだけですね。

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