「演出じみた数々の場面は単なる偶然だったのか…」 ロシア人記者の元山リゾート訪問記
ロシアのジャーナリストが、このほど訪れた北朝鮮・元山市の葛麻海岸観光地区リゾート訪問記を公開した。
ロシアの日刊紙「コメルサント」は14日、ロシアのラブロフ外相の訪朝を同行取材した同紙記者による元山市内のリゾート訪問記を掲載した。ラブロフ外相は同リゾートに招待された初の外国高官だ。
この記者は、元山空港から観光地区に移動する間に「Pub(パブ)」「Restaurantレストラン)」「Video Game Center(ビデオゲームセンター)」など、予想とは違って英語の看板が並んでおり、すべての店の看板に英語と現地の言葉が併記されていたことに驚いた、としている。
さらに、ロシアは現在、事実上唯一の北朝鮮を訪問している外国国家で、今年1-5月に北朝鮮を訪問したロシア人の数は2019年の1年間の訪問者数の3倍に達するという統計もあるが、ロシア語や中国語の表記は見当たらなかった、と指摘した。
北朝鮮側の招待によりホテルのレストランで食事をした記者たちは、前菜料理4品、メイン料理7品、デザート3品、計14品のコース料理を振る舞われたが、このコースは1人当たりたった10ドル(約1500円)だった、と伝えた。
ホテルは1泊90ドルで、客室にはスリッパ、タオル、アイロン、使い捨ての洗面用具、特産の飲み物が置いてあるミニバーなどが備えられており、バルコニーからは数キロメートルに達するビーチが一望できたという。
ただし、北朝鮮の国営通信社「朝鮮中央通信」が「韓国人観光客が利用中だ」と発表したのとは違い、12日午前までビーチは閑散としていたとのことだ。
ホテルの2階にあるビリヤード場では、スーツを着た男女が朝から晩までビリヤードをしていたのだが、深夜、記者のほとんどが部屋に入ってからようやく立ち去ったという。
この記者は「このカップルは最悪の役割を引き受けたわけではなかったはずだ」「公園のベンチでタバコを吸い続ける人、海辺で自転車に乗る人、バーのテラスでジョッキを持って座っている人など、他の人たちは強い日差しの下でリゾート客のふりをしていた」と書いた。つまり、にぎわうリゾートの様子を北朝鮮が「演出」したと指摘しているのだ。彼らの一部は朝鮮労働党のバッジを身につけており、ロシア語が上手だったとのことだ。
記者は、ロシア人観光客が実際にリゾートを利用する姿を目撃したのは12日夕だったと明らかにした。彼らは「さまざまな手続きを経てやっと入国した」「ラブロフ外相の到着後にようやくビーチで遊んだり、日光浴を楽しんだりする現地の人々が現れた」と言った。
この記者は12日夕、ビーチでロシア人観光客を見かけた。ロシア人観光客は記者に対し、「多くの紆余(うよ)曲折があって、このリゾートに来られるかどうか確信できなかった」と語った。
そして、ラブロフ外相が到着した11日以降になってようやくビーチで遊んだり、日光浴を楽しんだりする北朝鮮の人々など「命のシグナル」が初めて現れた、と教えてくれたという。
記者は「ラブロフ外相が到着する日に合わせてロシア人観光客が元山に来たことや、ビリヤード場カップルの行動など、数々の疑わしい場面が単なる偶然だったのかどうか、確認するには時間が足りなかった」という文で訪問記を結んだ。
チョン・アイム記者
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