【毎日書評】「断れない」「頼れない」「気にしすぎる」。職場のいい人を卒業するための心理学(ライフハッカー・ジャパン)
・断るのが苦手で、いつも誰かに振り回される ・助けを求めたり、相談したりすることができない ・相手のちょっとした言動が、いつまでも気になってしまう ・DVやモラハラなど、暴力をふるわれる、あるいはふるってしまう ・相手のいいなりになる、あるいは、いいなりにさせようとしてしまう もちろん、これらはほんの一端にすぎないでしょう。 しかし『振り回されるのはやめるって決めた 「わたし」を生きるための自他境界』(若山和樹 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者によれば、もしもこうした人間関係に関する悩みを抱えているのなら、「自他境界」に問題があるのかもしれないのだそうです。 自他境界とは、こころと身体の領域における、ここまでが自分の範囲で、そこから先が自分でないもの(他者)の範囲であることを示す境界線を意味する言葉です。 自他境界がきちんと機能していると、私たちは人とのつながりのなかで「個人の幸福」と「健全な人間関係」を同時にかなえられます。この状態の境界線のことを、本書では「バウンダリー」と呼びます。反対に、私たちが対人関係で何か苦しかったり、困ったりしたとき、そのほとんどで自分と他者の間の境界線に何らかの問題が生じていると考えることができます。(「はじめに」より) 臨床心理士・公認心理師である著者は多くのカウンセリングを行うなかで、自他境界の重要性を感じているのだといいます。 それは日常生活の些細な困りごとから、著者の専門分野であるトラウマ臨床まで、自他境界の問題はほぼすべてのケースに共通するテーマだというのです。 重要なポイントは、自他境界の本来の力を引き出すことができれば、解決の糸口が見えてくるということ。そこで本書では、著者の経験とさまざまな臨床心理学の視点から、自他境界の概念を見なおし、役立つものにしようと試みているわけです。 きょうは第5章「バウンダリーづくりの『最良の方法』」のなかから、ビジネスパーソンにとってはなにより気になる「仕事での境界線の特徴とバウンダリー」に焦点を当ててみたいと思います。