新「らくらくホン」インタビュー あえて「変えていない」のに困難を極めた開発、それでも継続する意義とは
―― シリーズとしては初めてUSB Type-Cポートを搭載しています。 近藤氏 近年では、USB Type-Cが主流になってきていますので、USB Micro-Bのまま変更しないのは厳しいと判断しました。通常のフィーチャーホンでも既にUSB Type-Cに変更していますので、遅すぎるぐらいだったと思います。 ―― USB Type-Cケーブルをアンテナ代わりにしてFMラジオが聞けますが、ワンセグ機能を廃止した理由を教えてください。 外谷氏 ワンセグのご要望は認識していましたが、コストや部品の供給性、そして持続性の観点から、今回は搭載を見送りました。 ―― FMラジオほど求められていないのでしょうか? 外谷氏 ワンセグを求めるお客さまは約10%ほどだったと思います。数としては決して小さくないと思いますが、らくらくホンをグローバルサプライチェーンになったFCNTとして作り上げる中で、どうしても取捨選択が必要になります。あとは、5年後、10年後にワンセグチューナー部品の供給もなくなる見込みですので、その先のアフターフォローも考えた結果でもあります。これは他メーカーさんも同様だと思います。 ―― FMラジオを聴く際に必要なUSB Type-Cのイヤフォンや、3.5mmイヤフォンジャックから変換するアダプターが付属していません。 近藤氏 USB Type-Cの変換アダプターは100円ショップでも買えますので、入手性がいいというところで、付属しないという判断になりました。 正能氏 実際に使われるお客さまのことを思うと、当然、付属した方がいいです。ただ、いろいろな物を付属していくと、価格にも反映されていくのもまた事実です。取捨選択をしながら判断しています。
―― 製品のポジショニングのところで、らくらくホンとらくらくスマートフォンの役割、および対象ユーザーはどう違うのかを教えてください。 正能氏 らくらくホンに関しては「旧機種から変えない」点を先ほどもお伝えした通りですが、らくらくホンのユーザーさんにステップアップしてらくらくスマートフォンへ移行してもらいたい思いはあるものの、どうしてもらくらくホンでなければ使えないという方も多くいらっしゃるので、同じ使い勝手のらくらくホンを使い続けたいという方がらくらくホンのターゲットです。 一方、らくらくスマートフォンは、AIなどの新しいサービスが出てくるので、使いやすく使いこなしていただくことを考えております。ターゲットのくくりとしては、らくらくホンと同じシニアの方ではありますが、「新しいことに取り組みたい」「もっと使いこなしていきたい」といったモチベーションを持った方に手に取っていただけるような仕立てです。 外谷氏 少し補足しますと、シニアの方々だけでなく視覚障害者の方やフィーチャーホンしか使えないお客さまに、しっかりと使っていただけることも重要です。