ドイツ国債利回り急上昇、歴史的な財政政策転換で-支出制限を緩和

Greg Ritchie

  • メルツ次期首相、5000億ユーロの特別基金発表-大規模な財政改革
  • 10年物独国債利回りは23bp上昇の2.73%、ユーロは0.4%高

5日の欧州債市場でドイツ国債は取引開始直後に急落。投資家は国防およびインフラ投資のための歴史的な借り入れ増に備えている。

  10年債利回りは23ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し2.73%。2022年6月以来の大幅な上昇となった。メルツ次期首相は4日夜、大規模な財政改革の一環として5000億ユーロ(約79兆8000億円)の特別基金を設立すると発表した。

  ユーロは一時0.4%高の1.0664ドルを付けた。3営業日での上昇は22年末以来で最大となる方向だ。投資家は支出拡大が欧州経済を後押しすると期待している。

  メルツ氏の率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)陣営と、対立する社会民主党(SPD)は、数カ月にわたる連立政権樹立のプロセスを待たずに投資を促進する計画を急ピッチで進めている。

  特別基金に加え、防衛費として国内総生産(GDP)の1%以上を支出する場合には、憲法上の借り入れ制限(債務ブレーキ)の対象外とすることを提案した。

  ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネージャー、ジャック・マッキンタイア氏は「これはゲームチェンジャーだ」と述べた。同氏はメルツ氏の発表以来、ユーロのロングポジションを増やしているという。

  投資家は既に、ドイツが選挙後に厳しい財政ルールを緩和する可能性を織り込み始めていた。10年債利回りは今年これまでに30bp以上上昇している。スワップに対するドイツ国債の魅力を示す指標は、07年までさかのぼるデータで連続して過去最低を更新している。

  欧州各国政府は、トランプ米大統領がウクライナ戦争の早期決着を迫っているため、迅速な対応を迫られている。4日には、欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、防衛費を増やすために欧州連合(EU)が1500億ユーロの融資を行い、各国の歳出を抑制する財政ルールを緩和することを提案した。

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原題:German Bond Yields Spike Most Since 2022 on Investment Plans(抜粋)

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