NY外為市場=ドル上昇、FRB議長講演に注目

ニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対し上昇した。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

[ニューヨーク 21日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対し上昇した。市場では米連邦準備理事会(FRB)が来月の会合で利下げに踏み切るか手がかりを得ようと、パウエルFRB議長が22日に行う講演が注目されている。ただ、9月の会合までに一連の8月の経済指標の公表が控えているため、パウエル議長が利下げを明確に示唆する可能性は低いとみられている。

米ワイオミング州でこの日から3日間の日程で始まった年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」の今年のテーマは「移行期にある労働市場」。同会議でパウエル議長が行う講演について、ゴールドマン・サックスのエコノミストは、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で述べた「より多くの情報が得られるのを待つのに適した立場にある」という表現を修正する可能性があると予想。「FRBが担う二重の責務(物価安定と最大雇用)の双方に対するリスクに適切に対処できる立場にあるとの見方を示すと同時に、7月の雇用統計を受けて労働市場の下振れリスクが高まったと強調する一方で、関税措置による物価水準への影響は一時的なものになる可能性が高いとの見解を改めて示す」と予想した。

その上で、9月16─17日の会合での利下げが決定されるとパウエル議長が明確に示唆する公算は小さいとしながらも、パウエル氏が利下げを支持する公算が大きいと市場に伝える内容の講演になるとの見方を示した。

この日発表の経済指標では、労働省発表の8月16日までの1週間の新規失業保険申請件数が1万1000件増の23万5000件と、約3カ月ぶりの大幅な増加となった。これを受け、ドルは一時上げ幅を縮小した。ただ、その後に発表されたS&Pグローバルの8月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が55.4と昨年12月以来の高水準となったことを受け、地合いを取り戻した。
FRB当局者の間では、アトランタ地区連銀のボスティック総裁がFRBが今年1回金利目標を引き下げることは可能だと依然として考えていると述べたほか、 カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁が現時点ではインフレを巡るリスクが労働市場が悪化するリスクを上回っているとの見方を示し、FRBは利下げを急ぐ必要はないと発言。クリーブランド地区連銀のハマック総裁は足元の経済情勢を踏まえるとFRBが利下げに踏み出す時期ではないという認識を示した。
この日はまた、司法省がクックFRBに対する調査を実施する計画で、同省の高官がパウエルFRB議長に調査について通知するとともに、クック氏の解任を求めたとブルームバーグが報じた。トランプ大統領は20日、クック理事の住宅ローン契約を巡る不正疑惑が指摘されたことを理由に、クック氏の辞任を要求している。

終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.38%高の98.60。ユーロ/ドルは0.34%安の1.1611ドル。円は対ドルで0.65%安の148.29円。

暗号資産(仮想通貨)ビットコインは 1.77%安の11万2466ドル。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: