アップル初の折りたたみ端末「iPhone Fold」登場が現実味--期待と懸念が交錯する5つの要素
Appleが2026年に折りたたみ式の「iPhone」を発売するという報道が出ている。「iPhone 17」の発表を控え、長らくうわさされてきた「iPhone Fold」(仮称)に関する情報が徐々に明らかになってきた。この新モデルは、「Google Pixel 10 Pro Fold」や「Samsung Galaxy Z Fold7」のような「ブック型」の折りたたみデザインになると見られている。 すでに競合他社が数年前から折りたたみスマートフォンを市場に投入している中で、Appleはより成熟した市場に参入することになる。そのため、これまでの折りたたみ式のAndroid端末よりも完成度の高い製品になることが期待されているが、同時に競争が激しい分野への参入でもある。 iPhone Foldには、Androidの折りたたみ端末と同等、あるいはそれ以上の性能を持つ可能性があるとされる5つの特徴がある。 BloombergのMark Gurman氏によると、iPhone FoldはGalaxy Z Foldシリーズに似たデザインになるという。業界アナリストの郭明錤(ミンチー・クオ)氏は、折りたたんだ状態での厚みが9〜9.5mm、展開時には4.5〜4.8mmになると予測している。 参考までに、Galaxy Z Fold 7は折りたたみ時に8.9mm、展開時に4.2mmの厚みだ。わずかな差ではあるが、手に持ったときの感触には大きな違いが出るため、サムスン電子の端末が好まれる理由の一つとなっている。 次に注目されているのが、折り目(クリース)の目立ちにくさだ。Gurman氏の最近の報告によれば、インセルタッチスクリーン技術の採用により、折り目が目立ちにくくなる可能性があるという。また、ヒンジ部分には液体金属が使われ、耐久性の向上と折り目の軽減が図られる見込みだ。筐体にはチタンが使われ、ヒンジにはチタンとステンレススチールの複合素材が採用される可能性もある。 現在のGalaxy Z Fold7や「OPPO Find N5」でも折り目は小さいが、使い続けると目立ってくる傾向がある。iPhone Foldでは、「Galaxy Z Fold5」のような折り目の問題を回避し、最新世代のモデルに近づけられるかが注目されている。 iPhone Foldは5.5インチの外側ディスプレーを搭載し、これは「iPhone 16」の6.1インチよりも小さいが、展開すると7.8インチのiPadスタイルのスクリーンになるという。アスペクト比は4:3で、Google Pixel 10 Pro FoldやGalaxy Z Fold7のような正方形に近い比率だ。 「iPad mini」の3:2よりも動画視聴時の余白が多くなるが、他の折りたたみ端末と同等の体験が可能になる。内側のディスプレーは2713×1920ピクセル、外側のディスプレーは2088×1422ピクセルの解像度になるとうわさされている。 多くのブック型折りたたみ端末は、カバー画面内に1つ、折りたたみ画面内に1つ、背面に3つ(メイン、望遠、超広角)の計5つのカメラを搭載している。しかし、iPhone Foldでは、背面カメラが1つ減り、合計4つのセンサーになる可能性がある。 Gurman氏の新たな報告によれば、背面にはデュアルカメラ、前面と内側にそれぞれ1つずつカメラが搭載される見込みだ。これにより、サムスン電子やGoogle、その他の中国メーカーの製品と比べて撮影の多様性では劣る可能性がある。特に「vivo X Fold5」やOPPO Find N5は、折りたたみ端末のカメラ性能において非常に高い評価を得ており、iPhone Foldがそれらを超えるのは容易ではないだろう。 iPhone Foldでは、懐かしの機能が復活する可能性もある。それが「Touch ID」の採用だ。Appleは「iPhone 16e」の登場とともに「Face ID」を主流とし、Touch IDを段階的に廃止したが、iPadや「MacBook」では今もTouch IDが重要な認証手段として使われている。iPhone Foldでは、全く新しい画面内指紋認証センサーが採用されるのか、それともiPadのように電源ボタンに組み込まれるのかはまだ不明だ。 Gurman氏によると、iPhone Foldでは物理的なSIMカードスロットが搭載されない可能性もある。これは、「iPhone 17 Air」(仮称)と同様の仕様になると見られている。GoogleはPixel 10シリーズで、米国市場向けにeSIM専用の設計へと移行しており、Appleもそれに追随する形になるかもしれない。ただし、物理SIMがないことは、全てのユーザーにとって便利とは限らない。iPhone Foldでは、Pixel 10シリーズのように、米国以外の市場ではSIMスロットを残す可能性もあるが、現時点で確かな情報は出ていない。 通信性能については、Appleが開発した第2世代の「C2」モデムが搭載される見込みだ。このモデムは、iPhone 16eに搭載された初代「C1」モデムの後継であり、Qualcommの最新モデムに匹敵する性能を持つとされている。C2モデムは、「iPhone 18 Pro」(仮称)シリーズにも採用される予定で、Appleの通信技術の進化を象徴するものとなるだろう。 バッテリー技術にも注目が集まっている。iPhone Foldには高密度バッテリーセルが搭載される可能性があり、iPhone 17 Airにも採用されるとうわさされている。この新しいバッテリー技術は、OPPOやvivo、Honorなどの折りたたみ端末が、5000mAh以上の大容量バッテリーを搭載しながらも薄型化を実現できた理由の一つとされている。 発売日と価格については、iPhone Foldは2026年にiPhone 18 Proシリーズと同時に発表されると予想されている。Appleは2026年から発表戦略を刷新し、「iPhone 18 Air」、iPhone 18 Pro、「iPhone 18 Pro Max」、そしてiPhone Foldを同時に発表し、「iPhone 18」と「iPhone 18e」は2027年初頭に別途発表する計画だとされている。 価格は約2000ドルになると見られており、これまでで最も高価なiPhoneとなる。サムスン電子やGoogleの折りたたみ端末と同等の価格帯であり、決して安くはないが、iPhone Foldの登場によって折りたたみスマートフォンの普及が加速する可能性もある。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。