伝統校同士の熱戦 県岐阜商・横浜の選手たちが試合後に語った言葉

2025年8月19日19時45分

 (19日、第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 県岐阜商8―7横浜=延長十一回タイブレーク)

 春夏の甲子園大会で優勝計6回の横浜と、優勝計4回の県岐阜商による伝統校同士の一戦は、県岐阜商が16安打を放って打ち勝った。

 県岐阜商は五回を終えて4点を先行したが、追いつかれて延長タイブレークに。十回は小鎗稜也の3点適時二塁打で3点差を追いつき、十一回に坂口路歩の適時打でサヨナラ勝ちした。

 横浜は六回に敵失や池田聖摩の適時打などで3点を奪い、八回で同点に。五回途中から救援した奥村頼人が粘投し、延長十回に3点を奪ったが、十一回は守り切れなかった。

 今大会屈指の熱戦となった試合後、取材に応じた監督・選手たちの言葉を紹介する。

■県岐阜商・藤井潤作監督

 「(横浜とは)本当に力の差があると思っていた。打撃力、守備力、すごく鍛えられているなということを感じながらゲームを運んだ。やっぱり簡単には勝てないんだなというところで、本当に子どもたちがよく粘って逆転してくれた」

 「本当に1試合1試合やりながらひとりひとりが成長しているなと。特にピッチャー陣が本当に踏ん張ってくれて、本当に誇らしく思います」

 「(横浜について)攻撃しているのに、攻撃されているような守備力。ファインプレーも随所に出ますし、すごいチームだなと感じました」

■県岐阜商・河崎広貴主将(背番号17)

 「簡単に勝たせてくれない相手。絶対勝てるという気持ちだけは持ってやっていた。最後勝って本当によかった。ピッチャーもバッターもレベルが高かった。絶対に優勝につなげたい。(延長十一回から登板の和田聖也投手について)前日から『投げたら抑える』と言っていた。それでああいう場面で抑えた。すごくよい投手だと思う」

■県岐阜商・横山温大右翼手(3年、背番号9)

 「(試合を振り返って)先発の渡辺大雅投手が、どんどん0を並べてくれて、良い展開にしてくれた。自分たち野手は何としてでもピッチャーを助けるぞという気持ちで打席に立ったので、4点先制できたのはすごい大きかった」

 「(初回の好捕について)一回の最初の先制点というのは、流れが相手にいってしまうので、しっかりぎりぎりで捕れたのでよかった」

 「こうやって注目させてもらっているのも、周りのみんなの活躍があってこそ。自分は勇気と希望を持ってもらえるようなプレーを目指してやってきたので、ここまでやってきてよかった。準決勝、決勝をしっかり勝ちきって、ハンディがあっても、みんなと同じようにできるんだぞっていうことを示していきたい」

■県岐阜商・渡辺大雅投手(2年、背番号20)

 「前回は気持ちが入りすぎていたので、きょうはキャッチボールの延長線みたいにリラックスして、もうみんなホームラン打ってくれみたいな。そしたら勝手にストライク入るんで。全員にホームランを打たせるイメージで投げました」

■県岐阜商・和田聖也投手(2年、背番号11)

 「横浜の打者と対決できてうれしかった。(春の選抜の横浜をテレビで見て)このチームは夏も絶対来る。夏の優勝を狙うんだったらいつかは対戦する相手だろう、と思っていた。データを分析すると、低めに集めると打者は引っ掛けてくれると感じた。それがうまくできて打ち取れた」

■横浜・村田浩明監督

「延長十回に3点を取った後に守り切れなかったのが全て。延長十回の守りでは『走者は関係ない。一つひとつアウトを取っていこう』と送り出したが、うまくいかなかった。私の責任です」

 「球場の大半が相手の応援だった中で選手は落ち着いてプレーしていたので、奇襲ともいえる色々な作戦を繰り出せた。思い切って采配をふるえた。内野5人シフトは日頃から練習していた。あの場面でうまくできたのは練習のたまもの」

■横浜・奥村頼人左翼手→投手(3年、背番号1)

 「(救援登板について)今まで苦しい場面で投げることしかなかった。プレッシャーと戦ってきた。(サヨナラ負けの場面は)打たれたのはアウトコース高め。強い打球を打たさないために、まっすぐで押した」

 「(捕手の駒橋優樹選手からは何を言われたか)思いっきり腕を振ってこいと言われた。コースよりも気持ちで押した。相手の気持ちが勝ったと思う。(県岐阜商について)一体となってやってくるのが怖かった」

■横浜・織田翔希投手(2年、背番号10)

 「(四回途中で降板)これまで助けてくれた先輩らに迷惑をかける形でマウンドを降りることになった。ベンチから見守ることしか出来ず悔しかった」

 「ここまで先輩と一緒に来られたこと。素晴らしく優しい先輩たちだった。(来年に向けて)今はまだそんなことを考えられない」

■横浜・為永皓三塁手(3年、背番号5)

 「(守りでは再三のピンチ)なんとか守備からリズムを持ってこようと意気込んで守備位置についていた。ずっと練習してきたことが生きた」

 「先制されても追いついたこともよかった。間違いなく、自分ひとりではここまで来られなかった。横浜高校に来てよかった」

■横浜・池田聖摩遊撃手(2年、背番号6)

 「(六回の適時打の場面)次打者席で村田浩明監督から声をかけられた。『10の10よりも10打数1安打の方が価値がある』と。その言葉でリラックスできた。俺が決めてやるんだではなく、つなぐんだという気持ちだった」

 「(再三のピンチを『内野5人シフト』でピンチを切り抜けた)タイブレークには強いという自信があった。シフトは一番練習してきた。仲間とはゼロで行こうと話していた」

■横浜・林田大翼記録員(3年)

「(相手のサヨナラ安打は)スコアブックに書けていない。四回裏の県岐阜商・横山温大選手のヒットでスタンドがヒット1本の価値ではないくらい盛り上がっていた。流れが相手にいってしまう感じがベンチにいてもあった。スコアに表れない熱気があった」

 「(タイブレークの守り)練習でやってきた1点を防ぐシフト。結果を出せたと思う。(アウトごとに)首の皮一枚つながったと思いながらだった」

 「(スコアをつけていて)ヒットの数が少ないと感じていた。適時打が出なかった。相手のエラーで点を取っていた。気迫に押されていた。スタンドを巻き込んだ全体の気迫だった」

 「春のままのチームで挑んでいたら甲子園に来られていない。全員で悔しがって涙流すことができて良い経験ができた」

 「最高のチームになったと思う。負けた時スタンドでたくさんの方が拍手して『よくがんばった』と言ってくれた。愛されるチームになったと思う」

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